著者
酒井 章次 洪 淳一 山本 修美 橋本 光正 細田 洋一郎 椎名 栄一 川村 貞夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.975-979, 1990-05-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
17

後天性食道気管支瘻は食道癌に伴って起こることはよく知られているが,憩室に伴う食道気管支瘻は比較的まれである.本症例は66歳,女性で,55歳時に嚥下困難があったが肺化膿症および食道アカラシアの診断で放置していた.66歳になり嚥下困難,発熱,体重減少,背部痛があり当院に入院した.食道鏡により上部食道に発生した食道憩室を認めた.食道憩室造影から食道憩室と右肺上葉との連絡がみられた.この食道憩室造影所見から上部食道憩室の胸腔内破裂により生じた後天性食道気管支瘻と考えられた.