著者
椿井 正義 伊東 正安
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.895-907, 2003-06-01
被引用文献数
4

可変構造要素による適応的モフォロジーの境界強調機能について議論する.境界が強調される仕組みを定量的に説明し,超音波画像の境界強調とスペック低減のための有効な構造要素の定義域の設定と値の制御方法を提案する.構造要素の値を画像の境界部分で大きくして,境界以外の部分で小さくなるように制御するば,opening演算とclosing演算によって境界強調とスペックル除去を同時に行えることを示す.これを処理対象画像の情報を使って自動設定するために,超音波画像の空間分解能とスペックルの輝度値の統計的性質を利用する.本手法の有効性を,計算機シミュレーションによって作成した数値ファントムを用いた定量的評価と,実際の生体超音波画像からの境界抽出への応用によって明らかにする.スペックル低減と境界強調の性能が従来手法よりも高いことが示された.