著者
楊 暁捷
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.13-30, 2012-09

詞書と絵によって構成される中世の絵巻は、独自の表現の規則を持つ。その規則を析出することは、絵巻読解の上で大事な課題である。この論考は、言語における文法の言説を応用して、「絵巻の文法」を構築しようとする。規則の細目を説明するために、中世絵巻の基準作である『後三年合戦絵詞』三巻十五段を用いる。「絵巻の文法」の枠組みを描き出すために、絵巻の表現方法をめぐる在来の研究成果を受け継ぎ、それを整理し、具体的な位置づけを与える一方、新たな表現の原則を見出すことを試みる。とりわけ時間と空間の表現に関連して、これまでの研究で繰り返し取り扱われた「瞬間表現」、「異時同図」、「単一固定視点の排除」に加えて、「同図多義」、「異次元の時空」などの概念を提出する。さらに構図にみる語彙と文型について、代表的な事例を詳しく分析し、絵巻における規則への反動、詞書にみる文字と音声という異なるメディアの特牲などを指摘する。
著者
楊 暁捷
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.46, pp.13-30, 2012-09-28

詞書と絵によって構成される中世の絵巻は、独自の表現の規則を持つ。その規則を析出することは、絵巻読解の上で大事な課題である。この論考は、言語における文法の言説を応用して、「絵巻の文法」を構築しようとする。規則の細目を説明するために、中世絵巻の基準作である『後三年合戦絵詞』三巻十五段を用いる。