著者
松村 泰志 中野 裕彦 楠岡 英雄 朴 勤植 松岡 正己 大嶋 比呂志 早川 正人 武田 裕
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-26, 2002 (Released:2017-08-14)
参考文献数
13
被引用文献数
2

ネットワークを利用した医療機関の連携を実現するために,ADSLによる地域IP網上にPKIをのせたネットワークインフラの上に,電子診療情報提供書システムとASP型の電子カルテシステムを稼動させ評価した.電子診療情報提供書システムは,センターのメッセージ交換サーバを中心に,18診療所と4病院の間を結び,診療情報提供書情報(J-MIXのXMLフォーマット)を交換するシステムである.病院側では地域医療連絡室を中継点として,各診察室との間で,配信・収集を行う方式とした.77人の患者を本システムで紹介したが,医師,患者ともに高い評価を得た.ASP型電子カルテシステムは,センターにサーバ,診療所に端末を置く構成で,病院用に開発されたシステムを診療所用に応用するものである.本システムは,message queuの非同期通信を基本とし,端末側にも患者データベースを置く構成であり,遅いネットワークででも,患者データの送受信については,応答速度を遅延させる要因とならなかった.画面等の設定データの受信に負荷がかかるなど,いくつかの改良すべき点が明らかとなったが,技術的には解決可能であり,この方式の電子カルテシステムが実現可能であると考えられた.