著者
楠田 悠貴
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2020-04-24

フランス革命は長きにわたってナショナリズムの影響を受け、また近代世界の出発点としてばかり捉えられてきたために、他国の歴史が革命に及ぼした影響についてほとんど考察されてこなかった。本研究では、フランスにおける史料調査を積み重ね、革命期・帝政期の関連史料を幅広く網羅的に読解することを通して、フランス革命家および反革命家たちが17世紀イングランドの歴史的展開をつよく意識し、教訓を得るべくその解釈をめぐって論争を繰り広げながら自らの革命の進路を選択していたことを明らかにする。偶然の連続として叙述されがちなフランス革命であるが、最終的にこれとは異なる新しい革命像が提示できると考えている。