著者
楢原 理恵 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.124-129, 2012

本研究の目的は,3交代制看護師のバーンアウトの重症度別の心身の症状の違いを明らかにし,看護師のバーンアウトの早期発見および対策についての示唆を得ることである.<br>総合病院の3交代制看護師133名に質問紙調査を実施した.調査項目は,精神健康調査票 (The General Health Questionnaoire以下GHQ30とする),Maslack Burnout Inventoryの日本語版 (以下MBIとする),職務意識の低下度とした.有効回答98名 (73.7%) を分析対象とした.バーンアウトの重症度として,バーンアウトが重症化するに従って職務意識も低下する<sup>1)</sup>との前提に基づいた先行研究での結果を本研究においても検証した上で,職務意識の段階を「バーンアウトの軽度・中等度・重度」と仮定した.バーンアウトの重症度と看護師の心身の症状の関連については,GHQ30下位尺度と情緒的消耗感の得点をピアソンの積率相関係数を算出した.その結果,「バーンアウトの軽度」には「身体症状」と有意な正の相関,「バーンアウトの中等度」にはGHQ30下位尺度全ての心身の症状との有意な正の相関,「バーンアウトの重度」には,「精神・神経症状」のみが有意な正の相関を認めた.よって,バーンアウトの早期発見や離職防止においては,看護師の身体症状に着目することが有効であることが示唆された.