著者
内野 恵子 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.18-23, 2015-02-01 (Released:2015-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
10

本邦における新人看護師の離職要因と離職防止対策を明らかにし,看護基礎教育機関で実施可能な離職予防対策を検討することとした.研究方法は文献研究で,JMEDPlus,医学中央雑誌web版,NII論文情報 (CiNii),最新看護索引web (日本看護協会) より新人看護師,新卒看護師,看護師,離職,をキーワードとして検索した.分析対象文献73件の研究対象者に共通した離職要因は,【リアリティショック】と【職場内の人間関係】で,離職防止対策は【人間関係の構築】と【勤務体制の管理】だった.離職した新人看護師に共通していた離職理由は【心と身体の健康問題】で,最も多く希望した離職防止対策は【勤務体制の管理】だった.新人看護師の離職予防における看護基礎教育機関の役割は,看護師になる学生自身の心と身体の健康維持への支援が極めて重要であることが示唆された.
著者
島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.2_14-2_18, 2010-09-10 (Released:2010-12-10)
参考文献数
13
著者
大賀 淳子 庄子 和夫 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.77-89, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
51

本研究は,生徒の自己効力感への学校登山の影響について明らかにすることを目的とした.長野県の山への登山を行った2つの中学と2つの高校の生徒(登山参加者531人,登山をしなかった対照群73人)を対象として,登山前,後,1ヶ月後(登山をしなかった対照群では相当時)における自己効力感の測定を行った.また,登山を行った生徒には登山後に,Banduraの4つの情報源,波多野らの5つの条件,および登山での体験に関する質問紙調査を行った.その結果,登山に参加した生徒の自己効力感は登山後に有意に上昇し,1ヶ月後まで保たれていた.これに対して,対照群の自己効力感に変化はみられなかった.また,登山前の自己効力感が低かった生徒のほうが登山による自己効力感の上昇が大きかった.登山における自己効力感の変化への関連要因は「山の自然の印象」,Banduraの「代理的経験」,および波多野らの「他者との暖かいやりとり」であった.したがって,学校登山においては,山の自然に心を動かされることに加えて,友人の頑張る姿から刺激を受けたり,友人との暖かなやりとりを通じて,生徒の自己効力感が上昇すると考えられた.
著者
池谷 昌枝 島田 凉子 庄子 和夫
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.75-85, 2014-09-01 (Released:2014-09-13)
参考文献数
47

本研究ではn-3 polyunsaturated fatty acid (PUFA) 量とn-6/n-3PUFA比率を統制した食事が大学生の心理的ストレス応答にどのような影響を及ぼすかについて調査した.大学生男女23名を実験群13名とコントロール群10名に分け,調整期 (n-6/n-3=8) 3日間,介入期 (実験群:n-6/n-3=2,コントロール群:n-6/n-3=8) 7日間の食事介入を行った.最終日に暗算を行い,暗算前後の唾液中コルチゾール,尿中ビオピリン,profile of mood states-brief form (POMS短縮版) の群間比較を行った.実験群ではコントロール群よりも暗算後の気分の回復が早く,唾液中コルチゾールの終息も良好であった.また実験群は暗算後の尿中ビオピリンの上昇が抑制されていた.これは,n-3PUFAによりhypothalamic-pituitary-adrenal axis (HPA系) の負のフィードバックが良好であったことや活性酸素種への対処が円滑に行われたことに起因すると考えられる.
著者
中谷 啓子 島田 凉子 大東 俊一
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.37-47, 2013-02-10 (Released:2013-02-18)
参考文献数
51
被引用文献数
2

本研究は,日本におけるスピリチュアリティの概念を明らかにするための先行的研究である.スピリチュアリティが人間の内面に本来備わる目に見えないものという前提に立ち,「スピリチュアリティの覚醒」,すなわち,スピリチュアリティが顕在化する契機に着目し,その概念を明らかにすることを目的とする.研究デザインは,文献研究である.国内の学術論文を網羅するため3種類の検索データベースを用いた.キーワードを「スピリチュアリティ」「スピリチュアル」「覚醒」「危機」「クライシス」「概念」「グリーフ」「悲嘆」「日本人」に設定し文献を抽出し,その記述内容を分析フォームに整理しデータ化した.このうち,「スピリチュアリティの覚醒」の概念が抽出されたデータを,Walker & Avantの概念分析の手法を用い分析した.その結果,「スピリチュアリティの覚醒」の先行要件12種類,属性5種類,帰結9種類が明らかになった.また,考察の結果,スピリチュアリティの覚醒は,快・不快といった様々な出来事を契機に発生し,その結果として,自己の意識を拡張したり心身の回復,さらには大いなるものへの感謝と慈しみといった自己の成長をもたらすことが示唆された.さらに,このような機会は,生涯を通して,誰にでも起こり得ること,内的自己と超越的存在との関係といった2つの方向性のある探求であることを示唆した.さらに,人間は,「スピリチュアリティの覚醒」によって,生涯にわたり成長や変化の機会を得ることができ,こころとからだの相関の中でQOLを高めていくことが可能であることが示唆された.
著者
中谷 啓子 島田 凉子 大東 俊一
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.37-47, 2013

本研究は,日本におけるスピリチュアリティの概念を明らかにするための先行的研究である.スピリチュアリティが人間の内面に本来備わる目に見えないものという前提に立ち,「スピリチュアリティの覚醒」,すなわち,スピリチュアリティが顕在化する契機に着目し,その概念を明らかにすることを目的とする.<br>研究デザインは,文献研究である.国内の学術論文を網羅するため3種類の検索データベースを用いた.キーワードを「スピリチュアリティ」「スピリチュアル」「覚醒」「危機」「クライシス」「概念」「グリーフ」「悲嘆」「日本人」に設定し文献を抽出し,その記述内容を分析フォームに整理しデータ化した.このうち,「スピリチュアリティの覚醒」の概念が抽出されたデータを,Walker & Avantの概念分析の手法を用い分析した.その結果,「スピリチュアリティの覚醒」の先行要件12種類,属性5種類,帰結9種類が明らかになった.また,考察の結果,スピリチュアリティの覚醒は,快・不快といった様々な出来事を契機に発生し,その結果として,自己の意識を拡張したり心身の回復,さらには大いなるものへの感謝と慈しみといった自己の成長をもたらすことが示唆された.さらに,このような機会は,生涯を通して,誰にでも起こり得ること,内的自己と超越的存在との関係といった2つの方向性のある探求であることを示唆した.さらに,人間は,「スピリチュアリティの覚醒」によって,生涯にわたり成長や変化の機会を得ることができ,こころとからだの相関の中でQOLを高めていくことが可能であることが示唆された.
著者
楢原 理恵 島田 凉子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.124-129, 2012

本研究の目的は,3交代制看護師のバーンアウトの重症度別の心身の症状の違いを明らかにし,看護師のバーンアウトの早期発見および対策についての示唆を得ることである.<br>総合病院の3交代制看護師133名に質問紙調査を実施した.調査項目は,精神健康調査票 (The General Health Questionnaoire以下GHQ30とする),Maslack Burnout Inventoryの日本語版 (以下MBIとする),職務意識の低下度とした.有効回答98名 (73.7%) を分析対象とした.バーンアウトの重症度として,バーンアウトが重症化するに従って職務意識も低下する<sup>1)</sup>との前提に基づいた先行研究での結果を本研究においても検証した上で,職務意識の段階を「バーンアウトの軽度・中等度・重度」と仮定した.バーンアウトの重症度と看護師の心身の症状の関連については,GHQ30下位尺度と情緒的消耗感の得点をピアソンの積率相関係数を算出した.その結果,「バーンアウトの軽度」には「身体症状」と有意な正の相関,「バーンアウトの中等度」にはGHQ30下位尺度全ての心身の症状との有意な正の相関,「バーンアウトの重度」には,「精神・神経症状」のみが有意な正の相関を認めた.よって,バーンアウトの早期発見や離職防止においては,看護師の身体症状に着目することが有効であることが示唆された.