- 著者
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榎本 好恭
高橋 俊明
久米 正晃
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.5, pp.523-528, 2022 (Released:2022-02-20)
- 参考文献数
- 7
症例は80歳代,男性。発熱を契機として鼻咽頭PCR検査を施行,新型コロナウイルス感染症と診断された。入院時CTにて両肺野にすりガラス影とconsolidationを認め,COVID-19肺炎と診断した。デキサメタゾン6.6mg注にて治療開始後速やかに解熱したが,デキサメタゾン休止翌日より再度高熱となった。細菌性肺炎の合併を考慮し抗生剤を投与したが奏功せず,サイトカインストームを疑いステロイドパルス治療を行なった。一時的には解熱したが,ステロイド減量とともに高熱が再燃し,鑑別として真菌感染症,サイトメガロウイルス感染症などのいわゆる日和見感染症,特発性器質化肺炎などの非感染性肺疾患,肺結核などを念頭に置いて検査,治療を行なった。結果として,肺結核,サイトメガロウイルス感染症と診断され,それぞれに対して治療を開始,その後,結核患者収容・治療施設に転院となった。
ステロイドは新型コロナウイルス感染症治療におけるキードラッグだが,免疫機能を低下させ易感染性となることがあるので,各種感染症に注意が必要である。