著者
榮 光子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.110, 2009

<B>目的</B> 近年、日本において病原性大腸菌O157による食中毒など細菌汚染にまつわる事件が多発し、安全や衛生に関する意識が高まっている。それに伴い、抗菌加工製品の市場は拡大し、特に繊維製品の市場拡大は著しい。本研究では、抗菌加工製品の市場動向、消費者の購買意欲、抗菌に対する意識を調査し、今後の抗菌加工繊維製品市場の動向を検討することを目的とした。<BR><B>方法</B> 2008年8月に百貨店、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアにおいて、衣料用、インテリア用、バス・トイレ用、日用、医療用繊維製品5品目について、抗菌表示の有無、抗菌剤の種類、価格等を調査し、エクセルを用いて分析した。また、同年8~9月に306人の男女を対象とし、日常生活の意識行動、「抗菌」という言葉の理解度、抗菌効果の評価など全26項目の質問紙調査を実施し、エクセルまたはSPSSを用いて分析した。<BR><B>結果</B> 本市場調査では、医療用繊維製品では75%、バス・トイレ用では53%、インテリア用では14%、日用では9%、衣料用では8%に抗菌表示があった。「抗菌」の意味については75%が正しく意味を理解しており、衣料用繊維製品に対して根強い購買欲求があることが分かった。今後、抗菌加工を強調したり、望ましい抗菌加工処理をすることによって衣料用繊維製品における抗菌市場はより成長するものと思われる。また、トイレ用繊維製品の便座カバーについては、抗菌加工がほぼすべてになされている温熱洗浄便座の普及とともに、減少するものと推察される。<BR>