著者
樋上 弓子 樋上 茂 竹内 裕美 生駒 尚秋
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4Supplement3, pp.S174-S176, 2000-01-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
6

閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) の気道閉塞部位は軟口蓋部と舌根部が多く、声門部が原因となることはまれである。われわれは睡眠中のみに声門開大障害が生じたOSASの1例を経験したので報告した。症例は68歳男性で主訴はいびきであった。内視鏡検査では、覚醒時の声帯の可動性は良好であったが、睡眠中には吸気時に声門は閉鎖し、呼気時も声帯の開大は副正中位までに制限されていた。中咽頭食道内圧測定では、無呼吸時の中咽頭圧は全く変動しなかったが食道内圧は最大-23.0cm H2Oまで陰圧化し、舌根部以下の狭窄が示唆された。中枢性疾患の合併を伴わず、特発性Gerhardt症候群と診断した。