著者
早坂 信哉 樋口 善英 倉重 恵子 曽我 俊博
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.58-64, 2020-06-19 (Released:2020-06-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2

背景・目的 近年では、浴槽に浸かる温浴より、シャワー浴で済ませる人の割合が増加している。しかし、シャワー浴は一般的に温浴よりも温熱も冷え性の改善効果が認められない。また、カシスポリフェノール摂取は血流を改善することが知られている。そこで、カシスポリフェノール飲用後にシャワー浴を行う場合と、通常の水道水飲用後にシャワー浴を行う場合と比較し、カシスポリフェノール飲用後にシャワー浴を行う場合とで、シャワー浴の温熱刺激後の保温効果冷え性の改善効果および湯冷め遅延効果が得られるかを、皮膚表面温度および舌下温(深部体温)の差から明らかにすることを目的とした。対象・方法 健康な成人女性10名を対象にカシスポリフェノール飲用後のシャワー浴と水道水飲用後のシャワー浴とを、それぞれ41℃で10分間ずつ行い同一被験者内比較介入試験を実施した。各入浴時における手足の皮膚表面温度および舌下温の測定を行い測定値の平均を求めpaired-t検定で比較した。結果・考察 手足の皮膚表面温度表面体温では、カシスポリフェノール飲用後で有意な差をもって保温効果が高まる結果が得られた。したがって、シャワー浴の前にカシスポリフェノールを飲用することで、手足の保温、湯冷め遅延効果が得られることから、シャワー浴の短所であるである、浴後の体温低下、(いわゆる湯冷め)冷え性の改善効果が得られる可能性があると示唆された。舌下温の測定では、有意な差はなかった。結論 カシスポリフェノールを飲用後のシャワー浴は、水道水を飲用後のシャワー浴よりも保温効果が高まり、体温維持の延伸効果が得られると考えられた。
著者
早坂 信哉 樋口 善英 野々村 雅之 栗原 茂夫
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.17-22, 2020-06-19 (Released:2020-06-19)
参考文献数
12
被引用文献数
2

背景・目的 一般公衆浴場の銭湯は、生活空間として身近にある公衆を入浴させる施設である。従って、地域の住民にとって銭湯は、保健、医療、福祉の面としての健康増進の場、地域社会におけるコミュニケーションの場・ソーシャルキャピタルを高める場として期待され、大変重要な社会的資源であると考えられる。本研究では銭湯利用頻度と健康指標の1つである主観的幸福感について、男女別・地域別・世代別の各指標から調査分析し、その関連を明らかにすることを目的とした。方法 インターネットを利用した横断研究を2018年9月に実施した。調査対象者558名(男性281名(50.4%)、女性277名(49.6%))であった。週1回以上の銭湯利用頻度の高い者と週1回未満の銭湯利用頻度の低い者の2群に区分し、各群の主観的幸福感を比較検討した。結果 銭湯利用頻度の高い者は主観的幸福感が高く、男性が女性より高かった。一方、地域別は、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県)より関西圏(大阪・京都・兵庫の2府1県)が高かった。さらに、年代別は、20~30歳代が高かった。以上より、銭湯利用頻度の高い者の主観的幸福感が高く、男性、関西圏、20∼30歳代の銭湯利用者で主観的幸福感が高いこととの関連が示唆された。考察 銭湯利用頻度の高い者の主観的幸福感は高く、男性、関西圏、20∼30歳代で特に高い傾向にあることがわかった。銭湯を習慣的に利用することで主観的幸福感が高まる可能性があると考えられ、銭湯の積極的な利用を進めることで地域住民の生活の質の向上につながる可能性がある。