著者
藤岡 豊 桑山 幸久 市原 義雄 安野 尚史 塚本 純久 横井 正史
出版者
Japan Society of Health evaluation and promotion
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.365-369, 1998

40歳から83歳の1, 769名 (男1, 184名, 女585名) の一般中高年者について, 保有する危険因子の数と, 最大酸素摂取量 (VO<SUB>2max</SUB>) , および無酸素性作業閾値 (Anaerobic Threshold, AT) における酸素摂取量 (VO<SUB>2AT</SUB>) , 心拍数 (AT時HR) , 収縮期血圧 (AT時SBP) との関連を調査した。危険因子としてはSyndrome XとDeadly Quartetの指標を参考に, 空腹時血糖, 血圧, LDLコレステロール, HDLコレステロール, トリグリセライド, 体格指数 (Body Mass Index, BMI) の各項目について検討した。運動負荷は, 自転車エルゴメーターによるRamp負荷を行った。男女別に保有する危険因子の数 (<I>N</I>) により<I>N</I>=0群 (<I>n</I>=343) ~<I>N</I>=5群 (<I>n</I>=18) (<I>N</I>=6該当者なし) に分類したところ, 男女とも抱えている危険因子の多い群ほど, VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに低い値を示した。また個々の危険因子の程度も, 危険因子数が多い者ほど高い (HDLについては低い) 傾向が認められた。これに対し, AT時HRの予測最大HRに対する割合は男女ともほぼ一定で, 63.8%~68.9%であった。VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに保有危険因子の数とおおむね逆相関を呈し, 体力レベルの低い者ほど多くの危険因子を抱えていた。AT時HRの予測最大HRに対する割合はその保有危険因子数の多寡にも影響を受けず, 運動処方の目安として合理性の高いものであると考えられた。