著者
大和 孝子 青峰 正裕
出版者
Japan Society of Health Evaluation and Promotion
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.575-580, 2003-11-10 (Released:2010-09-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

本研究では女子大学生を対象にし, 冷え症の程度を弱, 強の2段階に区分けして, 冷え症の程度と身体状況および心電図との関連を調べた。身体計測値を正常者と冷え症者で比較した場合, 身長は両者間で有意差はなかったが, 体重, BMI, 皮下脂肪厚, 体脂肪率, 体脂肪量は有意に冷え症者で低かった。冷え症の3群間で較べてみると, 体重, BMI, 体表面積, 皮下脂肪厚, 体脂肪率, 体脂肪量は“冷え”の程度が増すほど値は低下する傾向があった。また, 心電図 (第II誘導) を比較した場合, R-R間隔とQT時間は“冷え”の度合いが強いほど, 有意に延長していた。冷え症者でみられたQT時間の有意な延長は, 先行するR-R間隔で補正したQTcを正常者と冷え症者2群間で比較すると有意差は消失した。これらのことより, 冷え症の程度と痩せ, 徐脈との間に正の相関があることが分かった。
著者
高田 晴子 高田 幹夫 金山 愛
出版者
Japan Society of Health Evaluation and Promotion
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.504-512, 2005-11-10 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12
被引用文献数
13 10

加速度脈波測定システム (APG) を用いて, 1) 自律神経機能評価の異なった指標である心拍変動係数 (CVaa%) と心拍変動周波数解析 (MEM法) の低周波領域と高周波領域のパワー比 (LF/HF) の関係性を明らかにすること, 2) 安静時および日常活動時のLF/HFの標準範囲を得ること, 3) 心拍変動周波数解析パラメータのサーカディアンリズムの存在の検討である。対象および方法: 1) 21歳女性1名を対象に62日間起床直後にAPG2分間と基礎体温を記録した。2) 健常男性30~59歳の193名について午後時間に運動前と運動後のAPGを2分間測定した。統計的解析: 1) 起床時のCVaa%, LF, HF, Total Power, LF%, HF%, LF/HFの62日間の平均を算出した。各パラメータと基礎体温との相関関係およびサーカディアンリズムを観察した。2) 上記の各パラメータについて, 加齢差および運動の影響を統計的に検討した。CVaa%と脈拍数に相関するパラメータを調べた。結果: 1) 起床直後のLF/HFは1.4±0.9であった。また, 基礎体温と有意な相関関係を示したのはTotal Power, HF, LFであった。これらは二相性のサーカディアンリズムを持ち, 基礎体温とは逆の関係を示した。2) 運動前も後もLF, HF, Total Power, HF%, LF%について有意な加齢差はなかった。運動前LF/HFも有意な加齢差はなかったが, 運動後LF/HFは高齢者の方が有意に小さかった。運動前に比べて, 運動後のTotal Powerは有意な変化がなかった。運動後のHF, HF%は有意に減少した。運動後のLF%およびLF/HFは有意に増加した。なお, 運動前のLF/HFの95%信頼区間は2.0~2.6, 運動後は4.3~5.7であった。CVaa%と有意に相関したのはTotal Power, LF, HFであり, LF%, HF%, LF/HFとは有意な相関はなかった。結論: 1) LF/HFは非常に安静な状態では2.0より小さく, 日常の安静時では2~3, 副交感神経活動が抑制または交感神経活動の興奮状態では4.0以上の値が目安となる。2) CVaa%は自律神経活動を反映するが, LF/HFとは関係がなく自律神経バランスを反映するわけではない。3) 若い女性の自律神経活動は基礎体温と逆の二相性のサーカディアンリズムを持つ。
著者
Toshimasa TAKAHASHI Takehiko BABA Tomoko OGAWA Yasuko OKAMOTO Tetsuya TAJIMA Tamaki AGAWA Taro KONDO Kunio YANAI
出版者
Japan Society of Health Evaluation and Promotion
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.518-524, 2016 (Released:2016-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

Objective. The purpose of the study was to determine the distribution of estimated glomerular filtration rate (eGFR) values among the Japanese working generation using representative health checkup data. Design. Cross-sectional, observational, large cohort study Setting. Japan Health Insurance Association, Tokyo Branch Participants. Data for 766,556 participants aged 35-74 years who attended preventative health checkup for lifestyle-related disease conducted by the Japan Health Insurance Association, Tokyo Branch, in 2012 were included. After excluding dialysis patients and those with missing data, 766,095 participants (mean age, 48.9 years; 68.1% male) were selected for analysis. Main outcome measures. Serum creatinine-based eGFR values were analyzed in 5-year age groups. Results. The age-specific mean eGFR values were 86.4, 83.0, 79.8, 77.4, 75.5, 73.2, 70.9, and 67.8 mL/min/1.73 m2 for the age groups of 35-39, 40-44, 45-49, 50-54, 55-59, 60-64, 65-69, and 70-74 years, respectively. The difference in eGFR per 1-year difference in age was 0.523 mL/min/1.73 m2/year. The mean eGFR was higher in the female participants for all age groups, being most apparent in those aged 35-50 and 60-74 years. However, without body surface-area correction, the mean eGFR was lower in the female participants for all age groups. Conclusion We described the distribution of eGFR values on the basis of a large data set obtained during health checkup examinations in Japan. We found these data to be representative of the 35-74 year-old Japanese general population.
著者
藤岡 豊 桑山 幸久 市原 義雄 安野 尚史 塚本 純久 横井 正史
出版者
Japan Society of Health evaluation and promotion
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.365-369, 1998

40歳から83歳の1, 769名 (男1, 184名, 女585名) の一般中高年者について, 保有する危険因子の数と, 最大酸素摂取量 (VO<SUB>2max</SUB>) , および無酸素性作業閾値 (Anaerobic Threshold, AT) における酸素摂取量 (VO<SUB>2AT</SUB>) , 心拍数 (AT時HR) , 収縮期血圧 (AT時SBP) との関連を調査した。危険因子としてはSyndrome XとDeadly Quartetの指標を参考に, 空腹時血糖, 血圧, LDLコレステロール, HDLコレステロール, トリグリセライド, 体格指数 (Body Mass Index, BMI) の各項目について検討した。運動負荷は, 自転車エルゴメーターによるRamp負荷を行った。男女別に保有する危険因子の数 (<I>N</I>) により<I>N</I>=0群 (<I>n</I>=343) ~<I>N</I>=5群 (<I>n</I>=18) (<I>N</I>=6該当者なし) に分類したところ, 男女とも抱えている危険因子の多い群ほど, VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに低い値を示した。また個々の危険因子の程度も, 危険因子数が多い者ほど高い (HDLについては低い) 傾向が認められた。これに対し, AT時HRの予測最大HRに対する割合は男女ともほぼ一定で, 63.8%~68.9%であった。VO<SUB>2max</SUB>, VO<SUB>2AT</SUB>ともに保有危険因子の数とおおむね逆相関を呈し, 体力レベルの低い者ほど多くの危険因子を抱えていた。AT時HRの予測最大HRに対する割合はその保有危険因子数の多寡にも影響を受けず, 運動処方の目安として合理性の高いものであると考えられた。
著者
岡本 孝信 増原 光彦
出版者
Japan Society of Health Evaluation and Promotion
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.222-226, 2003-03-10 (Released:2010-09-09)
参考文献数
24

女子大学生65名を対象に週2回の定期的な運動を実施し, 体脂肪および有酸素能力に及ぼす影響について検討した。本研究において得られた結果は以下に示すものである。1) 皮下脂肪厚に関しては上腕背側部および肩甲骨下部のいずれにおいても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。また, 皮下脂肪厚と同様に体脂肪率においても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。2) ステップテスト終了後の心拍数は1分後, 2分後および3分後のいずれにおいても運動実施前に対して運動実施後に有意に低い値を示した。また, ステップテストの判定指数においても心拍数と同様に運動実施前に対して運動実施後に有意に高い値を示した。3) 運動実施前における体脂肪率とステップテスト終了1分後, 2分後および3分後の心拍数との間には有意な相関関係が認められた。しかし, 運動実施後においては有意な相関関係は認められなかった。以上の結果から, 週2回の定期的な運動によって体脂肪は減少し, 有酸素能力は向上することが明らかになった。これらのことから肥満の改善においては定期的な運動習慣を実践することの重要性が示唆された。