著者
ラパヴィツァス コスタス 横内 正雄
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.42-55, 2010-04-20

The crisis of 2007-9 resulted from a financial bubble marked by weak production, expanding bank assets, and growing household indebtedness. For these reasons the crisis casts light on the financialisation of capitalist economies. The literature on financialisation generally links weak production with booming finance; according to some, causation runs from weak production to booming finance, while for others it runs in the opposite direction. This article argues that there is no direct causation between booming finance and weak production. Rather, financialisation represents systemic transformation of capitalist production and finance, which ultimately accounts for the crisis of 2007-9, and has three main features. First, less reliance of large corporations on banks; second, banks shifting their activities toward mediating in open markets and transacting with individuals; third, increasing implication of individuals in the operations of finance.
著者
菅原 陽心 溝口 由己 河村 哲二 清水 敦 苑 志佳 王 東明 WANG Dongming 植村 高久 横内 正雄 竹野内 真樹
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,中国における市場経済化の進展過程を市場経済の多様性という視角から分析し,中国型市場経済を類型として明らかにすることを目的として、企業システム,経済政策,金融改革の三つの側面から実証分析を行った。企業システム分析では,国有企業,郷鎮企業,外資系企業の実証分析を行い,中国の企業システムあっては,欧米型のそれとは異なって,中国社会に基底的なネットワーク関係が軸に据えられたものであることが明確になった。経済政策の分析ではWTO加盟等この間の環境変化の中で、経済政策がどのように変化したのかをヒアリングを中心に調査し,政府・党の役割は非常に大きいものの,その役割を間接的なものにしていくという方向で改革政策が進められていることが明確になった。金融改革の分析は,ネットワークを軸にした中国型市場経済の中で,金融制度改革が,欧米流の個人の自由な取引に基づいた金融市場の構築という方向で進展しているということを踏まえ,中国型ネットワークと欧米型「市場」のせめぎ合い,相互適応・融合という視角から分析を行ったが、国有企業改革がはらむ問題等から、証券市場の整備が順調ではないこと、また、国家資産の管理などにも種々の問題が生じていることが明確になった。本研究は実証的な成果を前提にして、社会主義市場経済の類型化を図ることを最終的な目標としてきた。しかし、実証分析の深化を図るとともに、現在の状況が大きな変化の途上にあるということ、また、市場経済化の進展は地域によって様々異なった様相を呈していることが明確になった。そこで、全体的な類型化としては、政府・党によるマクロ・ミクロ両面から支えられた市場経済という極めて抽象度の高いものに留まらざるをえず、より具体的なモデル化は、調査地域の違いに応じた類型化、ならびに、今後の状況の変化を織り込むことによって可能であることが明確になった。