- 著者
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横地 高志
杉山 剛志
加藤 豊
- 出版者
- 愛知医科大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1996
エンドトキシンとD-ガラクトサミンをマウスに投与すると、実験的エンドトキシンショックが誘導される。この実験的エンドトキシンショックの病態におけるアポトーシスの関与が検討された。エンドトキシンショック誘導マウスの各臓器からDNAを抽出し、アガロースゲル電気泳動で展開したところ、肝臓に明らかなDNA断片化が認められた。また、ニックエンド法で染色したところ、肝細胞が陽性に染まり、肝細胞がアポトーシスを起こしていることが明らかとなった。また、腎臓も陽性に染色される部分があった。エンドトキシンショック誘発マウスの血清とD-ガラクトサミンとの移入により、アポトーシスが誘導され、アポトーシス誘導に血清中の因子の関与が推定された。抗TNF抗体の投与によって肝アポトーシスが抑制されたことから、エンドトキシンによって遊離された血清中のTNFがアポトーシル誘導因子であることが推察された。TNFとD-ガラクトサミン投与によって、肝アポトーシスが同様に誘導されたことからもTNFの関与は明らかになった。その他のサイトカインによる作用は認められなかった。このエンドトキシンショックに伴った肝アポトーシスにFas抗原の関与を調べるために、Fes抗原陰性のMRL lpr/lprマウスを用いて検討したところ、同様に肝アポトーシスが起こったことから、Fas分子の関与はないと考えられた。以上の結果から、エンドトキシンショックの病態にアポトーシスが関与し、特にTNFが主要な作用分子であることが明らかになった。エンドトキシンショックにおいて、臨床的に肝壊死と呼ばれていた現象が実際は肝アポトーシスであることも示唆された。