著者
関根 秀介 横山 雄樹 荻原 幸彦 内野 博之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.172-177, 2020-03-15 (Released:2020-04-24)
参考文献数
11

体温管理療法(TTM)により二次性脳障害を最小限に抑えることの重要性は広く認知されているが,導入のタイミング・方法・目標体温・治療期間・復温後の管理など普遍化されたものはない.TTMによる生理的変化には,血行動態の変化,凝固・電解質異常,免疫能の低下がある.シバリングは,TTMの妨げとなることから鎮静,鎮痛,筋弛緩薬により予防や対処を行うが,薬物過量投与や作用遷延について考慮しなければならない.麻酔薬の過量投与は,呼吸・循環抑制に加え,神経学的診察や予後診断を複雑にするなどの弊害をもたらす.体温と薬物代謝や効果の関係を理解しモニタリングを行うことがTTMを安全に施行するために重要である.