- 著者
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横川 俊哉
上山 智
真田 篤志
- 出版者
- 山口大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
本研究は、従来実現されていないテラヘルツ帯の電磁波の発生を可能とする真空チャンネルトランジスタの開発を目的とする。テラヘルツ波は高速無線通信やイメージング、医療の分析など多くの応用が期待される。しかし数THzの高出力電磁波発生には課題が多い。窒化物半導体であるAlGaNは負の電子親和力を有しており、低駆動電圧が期待される。AlGaN半導体を用いた真空チャンネルトランジスタを新たに提案した。AlGaN半導体の基礎物性や電子放出機構を系統的に調べ、そのデータベースよるデバイス最適構造設計を行うことで、真空チャンネルトランジスタを実現し、低電圧駆動(低消費電力)を実証することが計画であった。今年度の研究実績としてAlGaN半導体を用いた真空チャンネルトランジスタの低電圧駆動でのデバイス動作を確認した。AlGaN系半導体の負の電子親和力を示すバンド構造、電子放出機構や基礎物性を系統的な実験によって調べ、デバイス設計のためのパラメータが得られたため、このデータベースを用いて真空チャンネルトランジスタのデバイス最適構造設計に取り組んだ。エミッタ部がAlGaN半導体で形成されたデバイスとなる。MOCVD法によりGaN基板上にAlGaN膜の成長を行った。そしてエミッターに使用可能な高品質のAlGaN結晶が実現できた。その後、AlGaN膜をドライエッチング加工し、エミッタ―とコレクターを対面するように形成した。その後、AlGaN膜上にゲート絶縁膜とゲート電極を形成した。これによりAlGaNエミッタ―を用いた真空チャンネルトランジスタを形成し、低駆動電圧を実現した。またAlGaNに形成したカーボンナノチューブ電極の効果も確認した。さらにデバイスシミュレーションによるプロセス設計ならびに最適構造設計も行った。