- 著者
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金本 めぐみ
横沢 民男
金本 益男
- 出版者
- 上智大学
- 雑誌
- 上智大学体育 (ISSN:02870568)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, pp.1-10, 1999-03-25
本研究は青年期において,自己の身体がどのように認知されているか男女の認知構造について検討するとともに,身体的魅力の自己および他者の相互認知の構造を分析することを目的とした。大学生女子914名(平均年齢19.0歳),大学生男子934名(平均年齢19.4歳)を対象に調査がなされた。その結果以下のことが明らかとなった1. 現実の身長,体重および理想とする身長,体重から算出されたケトレーのBMI(BodyMassIndex)より,女性は男性に比べ細長体型への志向が顕著であった。2. 異性に対する理想体型は,女性は男性に対して普通の体型を理想とし,男性は女性に対して痩身体型を理想とする傾向が認められた。3. 身体満足度においては,女性は現実の肥痩パターンに関わらず自己の身体に対して否定的な認知をする傾向が認められた。4. 肥痩意識では女性は現実の体型より,より太っていると歪曲した身体認知を示した。一方,男5. 20の身体部位からみた身体満足度は,男女ともに低い傾向にあった。身体領域という視点での女性の不満部位を考えた場合,下肢部・スタイル・身体的性に代表されるように即時的に変えることが困難な身体領域に強い不満を感じていると言える。容姿・鼻・顔から構成される容貌の領域は予測に反して不満度はそれほど高くはなっかた。女性に比べ男性では不満足度の強い身体領域は認められなっかた。6. 男性および女性から見た身体的魅力の重要度における相互認知の違いが,男女というカテゴリーによるものか,個人を取り巻く環境的要因を基盤とした個人差としての認知傾向か今後詳細に検討する必要性が示唆された。