著者
横田 浩久 平 雅文 倉薗 貞夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.77, no.10, pp.529-535, 1994-10-25
被引用文献数
16

導波路形光回路中の光波伝搬問題に対して広く用いられているビーム伝搬法は,非線形誘電体を含む光導波路や光回路の解析にも適用されている.しかし,従来のビーム伝搬法による非線形光回路の解析では多くの場合,伝搬方向の徴小区間において電界強度分布が変化しない,という仮定を用いているため,精度の高い計算を行うためには伝搬方向のきざみ幅を非常に小さく選ぶ必要があり,計算時間も長くかかる.そこで本文では,クランク・ニコルソン法を適用した差分ビーム伝搬法の各伝搬ステップにおいて,差分式を反復計算して解を収束させる数値解析法を提案し,その定式化を行った.この手法を用いて,まず,カー媒質からなるクラッドを有する誘電体スラブ導波路にTE最低次モードを入射した場合の解析を行い,クラッド部へのビーム波の放出角を求めることにより従来の手法による結果と比較を行い,本手法の有効性を示した後,ビーム波の放出角の入射電力依存性を明らかにした.更に,この導波路の非線形TE定常波をガウスビームによって励振する場合において,ビーム幅が励振に及ぼす影響についても解析を行い,興味ある結果を得ている.