著者
横谷 晟人 吉廣 卓哉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.473-485, 2018-02-15

バッテリ駆動の小型センサ端末を設置し,無線マルチホップ通信により測定データを集める無線センサネットワークにおいて,従来手法と比較して大幅にネットワーク寿命を延ばすMACおよび経路制御プロトコルを提案する.受信ノード主導型MACプロトコルは,消費電力を抑えセンサノードの寿命を延ばすMACプロトコルとして知られている.本論文では,これを拡張し,データ配送木における葉ノードでビーコン送信を省き,経路制御プロトコルと連携させることにより,さらに消費電力を削減する.葉ノードでビーコン送信を省くことで,トポロジ変化時に葉ノードへ制御メッセージが送信できず,配送木の修復効率が悪化するという問題が起こる.これに対しては,葉ノードとの連絡経路を維持する仕組みを導入し,トポロジ変化時にも効率的に配送木を修復する.また,電力残量が低下したノードを避けるように定期的に配送木を再構築する仕組みにより,ネットワークが機能する時間を延ばす.最新のセンサ端末の性能を考慮したシミュレーション評価により,センサネットワークの寿命が大幅に増大できることを示す.