著者
橋本 奨 古川 憲治 南 純一
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.19-24, 1985-08-07 (Released:2010-02-26)
参考文献数
7
被引用文献数
2

日本各地から入手した我が国の代表的な飲料水の分析成績をもとにこれらの飲料水の人工合成を行うとともに, その官能試験を順位法により行った。さらに, この官能試験結果をもとに, 水の味に関するミネラル成分バランスにつき検討を加え次の知見を得た。(1) 日本各地の飲料水の分析値に基づき人工ミネラルウォーターの合成を試み, 分析値に近い人工ミネラルウォーターが調製できる事が判かった。(2) 人工ミネラルウォーターの官能試験を順位法にて行った結果, 従来からおいしいとされてきた水前寺公園の湧水, 熊本の水, 奈良二月堂の井水と同等のミネラル組成をもつ人工ミネラルウォーターが, 試験した人工ミネラルウォーターの中でおいしいと判定された。(3) 官能試験で供試人工ミネラルウォーターに各パネリストがつけた順位点の合計値 (Tj値) と主要ミネラル成分との相関関係の検討から, Ca, K, SiO2が人工ミネラルウォーターの良い味に関係していることが判かった。(4) 飲料水のおいしさを表す指標 (OI) として, OI= (Ca+K+SiO2) / (Mg+SO4) を提案し, この指標によりおいしい水の判定がある程度可能であることを明らかにした。
著者
岩堀 恵祐 橋本 奨
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.107-111, 1991

PVA硼酸法による下水活性汚泥の包括固定化ビーズを用いた低濃度汚染水の有機成分, アンモニア性窒素およびフミン酸の分解・除去能を種々実験的に検討したところ, 約61~75%の安定したTOC除去率が得られ, またビーズ充填率および水理学的滞留時間の増加に伴い, NH<SUB>4</SUB>-N・フミン酸の各除去率は増加し, さらに曝気脱窒によるNO<SUB>3</SUB>-N除去も期待できることが示唆された.<BR>一方, 固定化ビーズを硫黄補填好気-嫌気ろ床法に適用したところ, TOC・NH<SUB>4</SUB>-Nの効率的な除去とフミン酸の吸着除去ができることが明らかとなった.しかし, 嫌気槽での硫黄脱窒反応を促進するには, 好気槽からの持込み溶存酸素に注意する必要があることがわかった.<BR>PVA硼酸固定化ビーズは, 耐久性に優れているので, 低濃度汚染水の高度処理には実用性の高い固定化担体であるといえる.