著者
古川 功 江原 誠二 橋本 静信
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1990, no.9, pp.949-954, 1990
被引用文献数
1

ジハロトリフェニルポスホランと1-アリ-ル-2-ヒドロキシ-1-アルカノンジメチルアセタール1のi 反応について検討した。ジブモトリフェニルボスホラン2またはジグロロートリフェニルホスホラン3を,アセトニトリル溶媒中ピリジン存在下で1と加熱反応させると短時間で2-アリールカルボン酸エステル4が得られた。4の収率は1の芳香環上の置換基によって影響を受け,電子供与基をもつものはを好収率(94~95%)で与えたが,電子求引基をもつものでは低収率となった。一方,ジョードトリフェニルホスホラシを同条件で反応させると4は得られず,1-アリールー1一メトキシー2一アルカノンが好収率(84~88%)で得られた。以上の結果からジハロトリフェニルホスホランのハロゲンを変えると異なる生成物が得られ,特に2または3を反応試剤とする方法は,4の有効な合成法であることが明らかとなった。
著者
橋本 静信 小池 和太郎 岡畑 恵雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.6, pp.1139-1143, 1973-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

アセトニトリルを溶媒にして80℃で,CuCl2の存在または不存在下で過酸化2-テノイルとヨードベンゼンとの反応を行なった。CuCl2の存在下ではヨードペソゼンの水素が置換されてヨードフェニル2-テノアート(o-:m-:p-=55:19:26)が得られ,一方,CuCl2が存在しないときはC-I結合の炭素に置換が起こりフェニル2-テノアートが生成した。CuCl2の存在下で起こる水素置換反応は,部分速度比の対数と置換基定数σ+との関係からみて,生成した2-テノイルオキシラジカルがベンゼン環に付加したシクロヘキサジエニル型ラジカルがCuCl2により酸化される機構で説明される。一方,CuCl2の不存在下ではシクロヘキサジエニル型ラジカルの分子内で2-テノイルオキシ基が転位することによりフェニル2-テノアートが生成する機構を提出した。この2-テノイルオキシ基の分子内転位については,さらにt-ブチル2-テノアートからイソブチル2-テノアートへのラジカル転位を行なって,その関連性からも検討した。