著者
橋本 麿美
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.215-231, 2015-12-31

本稿の目的は,1996年から2015年の間に実施された連邦図書館政策の動向を明らかにすることである。図書館サービス技術法(LSTA)を含む1996年博物館図書館サービス法(MLSA),2003年改正法,2010年改正法を対象に(1)改正法案の成立過程,(2)LSTAの改正内容,(3)実施機関である博物館図書館サービス機構(IMLS)の役割の変化を分析した。その結果,第一にMLSAの改正法案は,図書館界の提案内容が反映されており,議会において短期間で成立したこと,第二にLSTAの目的は「統合」から「連携」へと変容し,館種間での資料共有や情報へのアクセス支援が進められ,また教育,労働政策分野等との連携協力への取り組みが増加したこと,第三に連邦政府の図書館政策に関与する組織の再編が進められ,補助金交付,政策助言,統計業務がIMLSに集約されたことが明らかになった。