著者
大音 三枝子 薩摩 由香里 梅田 節子 新城 拓也 西本 哲郎 池末 裕明 室井 延之 橋田 亨
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.147-151, 2020 (Released:2020-06-11)
参考文献数
14

がん疼痛に対して,ヒドロモルフォン注射剤から投与を開始し鎮痛効果を評価した研究は少なく,注射剤と経口剤の換算比を検討した研究もほとんどない.そこで,中等度から高度のがん疼痛を有する患者において,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤に変更する際の換算比の検討を目的とし,症例集積調査を行った.2018年7月から2019年12月に,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤へ変更した入院がん患者を対象とし,1:5の換算比で変更した後の鎮痛効果と副作用の発現状況を調査した.対象患者6例のうち3例では適切な鎮痛効果が得られたが,1例で鎮痛効果が不十分で増量を要し,2例で有害事象の眠気が出現し減量を要した.この結果より,ヒドロモルフォン注射剤から経口剤に変更するときは,症例ごとに変更後の鎮痛効果と有害事象を慎重に観察し,投与量を調節する必要性が示唆された.
著者
池村 舞 橋田 亨
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.2022-022, 2022 (Released:2022-06-21)
参考文献数
7

薬学部が6年制となり,より高い資質や能力を持つ薬剤師の養成が望まれている.研究活動は,医療の発展に寄与するためのエビデンスを創出する上で有用であるだけでなく,薬剤師としての業務を行う上で必要な幅広い能力を養成することができる.我々の調査から,研究室在籍期間が長いほど,研究経験を積んでいる傾向にあったものの,6年制薬学部卒業者の経験値は,4年制薬学部卒業後に2年の修士課程を修了した者の経験値と比較すると,低い傾向にあった.この結果も踏まえ,主として臨床研究の経験の少ない薬剤師を対象に,効率的で有意義な研究活動の一助となるよう,研究の意義や方向性を定期的に見直すための「研究テーマ進捗状況報告書」を独自に作成し,運用している.臨床能力の高い薬剤師を養成するために,ひいては,薬物治療の発展のために,基礎研究・臨床研究を問わず,薬学生や薬剤師が積極的に研究に取り組む機会を設けることが重要である.