著者
森 泰智 川上 聡 橋田 洋二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.396-400, 1990-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
4

非プロトン性極性溶媒中,2,4-位に置換基を持つ6-クロロ-1,3,5-トリアジン〔1〕とシアン化銅(I)あるいはシアン化カリウムとの反応から,いくつかの標題の化合物〔2〕が得られた。しかし,2,4-位にアルコキシル基を持つ場合・同様な反応からイソシアヌでレ酸トリアルキル〔3〕およびヒドロキシ置換体〔4〕が得られ,これらは最初生成したシアノトリアジンが分解しシアン酸アルキルを与え,これを経て生成したものと推察された。また,シアノトリアジンとアミン,アルコール,およびアジ化物イオンなどとの反応から,それぞれ対応するアミジン,イミダート,およびテトラゾール誘導体などが得られ,シアノトリアジンは求電子性に富むことがわかった。
著者
橋田 洋二 中島 欣也 関口 自然 松井 弘次
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1132-1138, 1969
被引用文献数
5

非対称型ジスアゾ染料合成のための基礎資料と,二つの別々な芳香環にある二つの官能基間の相互作用についての知見を得るため,各種のテトラゾ化ジアミンとR酸(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸)とのアゾカップリング反応の第1段反応の速度定数(k<SUB>1</SUB>),第2段反応の速度定数(K<SUB>2</SUB>)を分光光度計を用いて測定した。<BR>テトラゾ化ベンジジンの場合,K<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>が約650であるが,ベンジジンの二つのべンゼン環の間に-O-,-S-,-SO-,-SO<SUB>2</SUB>-,-CH<SUB>2</SUB>-,-CO-などの架橋基を導入すると,K<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>はかなり小さくなる。しかし,O-トリジン,O-ジアニシジンのテトラゾ化物の場合には大きなK<SUB>1</SUB>/K<SUB>2</SUB>の値が観測されることがわかった。<BR>以上の結果の理由について分光学的資料とも関連して考察を行なった。
著者
橋田 洋二 中島 欣也 関口 自然 松井 弘次
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.180-183, 1970
被引用文献数
1

オルト効果に関する知見を得る目的で, (1) 式のような構造を持つベンゼンジアゾニウム塩とR酸 (2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸) とのカップリング反応速度を測定した。<BR>X : オルト置換基 (H, CH<SUB>3</SUB>, OCH<SUB>3</SUB>, Cl, NO<SUB>2</SUB>)<BR>Y : 4あるいは5位の置換基 (H, CH<SUB>3</SUB>,OCH<SUB>3</SUB>, Cl, NO<SUB>2</SUB>)<BR>同じオルト置換基を有するおのおののジアゾニウム塩の携合において自由エネルギーの直線関係が認められるが, しかし Hamnett の反応定数 (ρ) は置換基 (X) の種類により, かなり変化する。<BR>テトラゾ化置換ベンジジン (2) の場合の速度定数の比 (<I>k</I>1/<I>k</I>2)(<I>k</I>1,<I>k</I>2 はそれぞれ第1段, 第2段反応の速度定数) の相違は, この反応定数の変化のためと考えられる。