著者
桑原 章 檜尾 健二 山野 修司 苛原 稔
出版者
JAPANESE SOCIETY OF OVA RESEARCH
雑誌
Journal of Mammalian Ova Research (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.59-63, 2005 (Released:2005-06-04)
参考文献数
25

子宮外妊娠は補助生殖医療(ART)による妊娠の約5%に起こることから,その予防が重要な課題である.近年,胚盤胞移植により子宮外妊娠の頻度が減少する可能性が指摘されている.初期胚移植に比べて,胚盤胞移植では移植から着床までの期間が短いこと,また子宮の収縮が胚盤胞移植時期に少ないことから,移植胚が卵管へ輸送される可能性が低い胚盤胞移植は子宮外妊娠予防に有利とされる.一方,不妊原因である卵管因子の有無は子宮外妊娠の発生頻度に影響を与える.ART症例で卵管因子を有する症例の子宮外妊娠率は卵管因子の無い症例に比べて高い.胚盤胞移植と子宮外妊娠の関連を検討した報告では,卵管因子をもつ症例では初期胚移植に比べ胚盤胞移植で子宮外妊娠の発生が少ないが,卵管因子を持たない症例ではこの傾向は認められない.卵管因子をもつ症例にARTを行う場合,移植時期を胚盤胞期にすることで子宮外妊娠の予防が期待される.