- 著者
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武井 卓
- 出版者
- 一般社団法人 日本老年医学会
- 雑誌
- 日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.3, pp.338-344, 2018-07-25 (Released:2018-08-18)
- 参考文献数
- 11
- 被引用文献数
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1
加齢により腎の形態は縮小し,機能は低下する.形態変化の原因は動脈硬化性変化,アポトーシスなどによる老性萎縮で,それに伴い機能の低下が生じるが,体液組成や循環動態の変化も影響する.腎機能を正確に把握するためには糸球体濾過量を実測することが必要であるが日常臨床では煩雑なためクレアチニンによる推定糸球体濾過量(eGFR)(mL/min/1.73 m2)を指標としている.しかし高齢者では筋肉量が低下し体格が小さくなり過大評価となるため体表面積補正を行わない値やシスタチンCを用いたeGFRが推奨されている.腎予備力が低下しており,水分や薬剤の影響を受けやすく注意が必要である.水分過多の場合,尿濃縮力の低下から夜尿症を引き起こしやすく,水分摂取不足の場合,容易に脱水を生じ熱中症となる危険性がある.