- 著者
-
森迫 昭光
武井 重人
松本 光功
- 出版者
- 信州大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は、磁気異方性の大きな材料であり、化学的に安定な酸化物である六方晶フェライト薄膜を高密度垂直磁気記録媒体として、低雑音化・高記録分解能化のために磁性粒子の微細化を主な目的として行ったものである。具体的にはバリウムフェライトやストロンチウムフェライト薄膜に注目して、添加元素や下地層に関する検討を行ったものである。その結果、バリウムフェライト薄膜にビスマスを添加することにより、結晶化温度の低減化可能であり、しかも粒子の微細化が可能であることが明らかになった。保磁力は3.7kOe程度と比較的大きな値ではあるが、今後の高密度記録媒体としては不十分な値であった。従来は、バリウムフェライト薄膜の下地層としては基板界面における拡散層の影響をさけるため、非晶質層を用いていた。ここでは磁化容易軸である六方晶系のc軸配向を促進する目的で、ヘテロエピタキシ効果を期待できるc軸配向した窒化アルミ層を下地層として用いた。その結果、c軸配向性に優れ、粒子サイズも40〜60nmまで抑制された、バリウムフェラィト/窒化アルミ2層膜を形成できた。そして保磁力も4.5kOeと高保磁力化が可能となった。しかしながら下地層の窒素の拡散に問題点が見いだされた。そこで、下地層として非晶質の酸化アルミ薄膜を用いた場合、観察される粒子の大きさは20〜40nmにまで微細化が可能であった。これを磁気力顕微鏡で観察した結果40nm程度のクラスターとして観察された。粒子間の磁気的な結合は主に静磁結合であった。ビスマス添加のバリウムフェライト薄膜ハードディスクについては、記録分解能をD5Oで評価すると、210〜230frpiと高密度記録の可能性をが明らかになった。