著者
高橋 秀俊 中鉢 貴行 森脇 愛子 武井 麗子 飯田 悠佳子 荻野 和雄 神尾 陽子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.229-234, 2013 (Released:2017-02-16)
参考文献数
26

自閉症スペクトラム障害(ASD)では,知覚処理の非定型性について知られており,低次の知覚処理機能と高次の機能との関連の脳内基盤の発達的変化を明らかにすることは,ASDの病態形成メカニズムを理解する手がかりとなりうると考えられる。聴覚性驚愕反射(ASR)は,精神医学領域におけるトランスレーショナル・リサーチにおいて,国内外で広く研究されている。今回我々は, ASD 児 10名とそうでない児童34名を対象に,ASR検査を実施した。聴覚刺激として,65 ~ 110dB まで 5dBきざみで10段階の音圧の聴覚刺激を提示した。さらに,対人応答性尺度で評価された定量的自閉症特性との関連も検討した。ASD 児では,ASRの潜時が延長しており,微弱な刺激に対するASR が亢進しており,これら ASR の指標は,いくつかの自閉症特性と相関した。ASR の指標が, ASDの病態解明に関して有用である可能性が示唆された。