著者
武智 秀之
出版者
法学新報編集委員会
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.183-225, 2017-01-31

本稿では和田博雄に光を当てることで、その思考・判断・決定の環境を明らかにする。和田博雄の歩んだ軌跡を素材としてその合理的な思考と精神をスケッチすることで、政治学・行政学の研究に寄与したいと考えている。まず農林省の重要法案、とくに小作調停法と農地調整法に焦点を当て、石黒忠篤と和田博雄の農政観、農林省農務局の組織哲学について論じる。次に内閣調査局での企画立案、企画院への再編、企画院事件について説明する。さらに農政局長として関わった第一次農政改革、農林大臣として関わった第二次農地改革について論述する。片山哲内閣で就任した経済安定本部長官としての活動と経済復興への貢献を説明する。最後に日本社会党に入党してからの夢と挫折の軌跡を描き、合理的な思考と精神を持ち、知性と理性の人であるが故に孤高な政治生活を送ったリベラリストの姿を明らかにする。
著者
武智 秀之
出版者
法学新報編集委員会
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1・2, pp.1-48, 2016-07-30

本稿の目的は、政策学の思考方法について検討し、公共政策の文脈的理解を強調することである。政策学の方法に関する三つの主張、つまり帰納的推論の思考は仮説設定、課題設定に貢献でき、行政学は制度や管理の文脈で政策について研究可能であり、政策学の学問的基盤は包括理論でなくてもよい、という主張を行う。さらに、トリアージ、特定商取引法改正、薬のインターネット販売の三つの政策事例を取り上げ、二つの価値の二律背反構造を条件づける文脈について比較検討し、決定の文脈的理解をより深めるために条件づけを明示化する必要があることを示す。
著者
武智 秀之
出版者
中央大学法学会 ; 1891-
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.183-225, 2017-01