著者
武田 礼子
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.121-127, 2016-03-31

一般的にフェイス(面子)研究の原点は,コミュニケーション研究であるが,外国語教育研究において,フェイス研究の実証研究は稀少であるため,未だに発展途上の分野である。本稿では,フェイスと外国語学習を考察する。まず背景にある,ゴフマン(1967)のフェイス理論,またその影響を受けたブラウンとレヴィンソン(1987)のポライトネス理論を論じる。次にゴフマンと同様,フェイスを普遍的だと論じるリンとバウワーズ(1991)が提唱する構成概念を紹介する。また中国発祥と言われる文化特有のフェイスの具体例として,中国人留学生を対象とした研究も紹介する。本稿では普遍的・文化特有,それぞれの立場のフェイスの諸研究を考察し,感情とフェイスの関連のように潜在的可能性のある分野にも触れ,外国語教育への応用も検討する。