著者
伊藤 敬一 毛呂 真 月舘 敏栄
出版者
八戸工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1.北国の地方として釧路市、八戸市を取り上げ、両都市で過去100年間に発生した震度4以上の地震について、発生時期・時刻、および被害内容を調査した。その結果、震度4以上の地震が2年に1回の割合で生じていること、両都市にとってもっとも気象条件の厳しい12月から3月の冬期間において4割を超える地震が発生しており、被害の様相も異なることがわかった。このことより、防災システムは冬期間とその他の時期の2通りの発生条件をもとに検討していく必要があることが明らかになった。2.釧路市において1993年釧路沖地震、八戸市においては1994年三陸はるか沖地震を取り上げ、それらの地震における建物被害、水道被害の地域分布を調査した。同時に両都市において、市街地をメッシュにて区分し、それぞれの地区での地盤の微動測定を実施し卓越周期を推定した。その結果、地震被害分布と卓越周期の地域分布がよく対応することが確かめられ、地震被害想定をする場合の震度についての有効な知見を得た。3.冬期、夜間に発生した1993年釧路沖地震、1994年三陸はるか沖地震について、実際に発生した住民の避難行動に関連して避難施設の開設、管理・運営、および住民の意識について詳細な調査を行った。その結果、避難に関わる住民、行政、施設の管理者の行動は地震の発生条件が深く関与していることが解り、北国の都市の緊急行動についての防災上の要件が明らかになった。