著者
水内 智英 宮田 雅子
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

平成30年度は、アクターネットワークセオリーをベースにしたデザイン方法論とその応用のための基礎理論を整理し、同時に実践メッソドの検討を行う期間と定めており、具体的には次のような活動を行った。1.アクターネットワークセオリーへの基礎的理解を得た上で、デザイン理論への展開方法を検討するため、関連文献を選定しそれらを基に研究会を重ね、議論を深めた。加えて、行動心理学や社会学などの関連分野の専門家に対する対談形式でのインタビュー調査を行い、デザイン方法論としての展開可能性について多視点から検討を加えた。2.実践メソッドの検討として必要となる、対象地域と対象課題の設定を行うため、候補として挙げられた地域に赴きフィールドワークを行い、必要に応じて、地方自治体関係者らとの打ち合わせを行なった。それらを通じて、次年度にメソッドの実践・検証を行う地域の選定と研究協力体制について確認することができた。3.国内外でサービスデザインや、多様なアクターを考慮に入れたデザインワークショップを実施し、その成果を研究会に持ち寄り報告・検証することで、実践メソッドの検討を進めた。加えてデザイン論、メディア論、サービスデザイン等を扱う研究会に参加し、本研究に関係する理論と実践の現状を把握した。研究推進に必要な関連基礎理論の理解、基礎的調査・準備は不可欠である。今年度に行なった一連の活動により、本研究の目的であるアクターネットワークセオリーを導入したデザインメソッドの開発とそれを支え得る基礎理論の構築に向けた準備を進めることができた。