著者
田中 孝明 水川 一広 妻鹿 純一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

銀系無機抗菌剤のイオンピュア^<TM>およびノバロンAG300^<TM>を用いて各種口腔細菌に対する抗菌作用と抗菌効果について検討した結果,以下の結論を得た。1. イオンピュアおよびノバロンのS.mutansに対する最小発育阻止濃度(MIC)はそれぞれ7.5mg/mlおよび1.3mg/mlであり,抗菌作用は静菌的であった。抗菌剤練り込み試料に対するMICはイオンピュアでは5wt%,ノバロンにおいては10wt%において認られた。抗菌剤練り込み試料面での生存率はイオンピュアおよびノバロンでは3wt%より顕著に減少した。2. C.albicansに対するノバロンのMICは500μg/mlであり,抗菌作用は殺菌的であった。ノバロンの義歯床への添加をインプリントカルチャー法により検索した結果,Candida属菌の顕著な発育阻止が認められた。3. 1)ユニファーストIIに対する各種コーティング材の接触角は,429R 37.8度,740 28.9度,プライトナー27.9度であり,比重は,429Rは1.00,740は1.04,プライトナーは1.07であった。コーティング試料表面のヌープ硬さ(HK)は,429Rで3.88,740は2.31,プライトナー13.00であった。試料表面の元素分析により,練り込みよりもプライトナーでコーティング処理した試料において,より強いAgの元素強度が認められた。2)イオンピュアおよびノバロンのカップ法によるA.viscosusへのMICは,それぞれ2.5mg/mlおよび1.3mg/mlであり,ラップ密着法による検討において,プライトナーでは429Rや740よりも,低い混入率において抗菌効果が認められた。