著者
河野 由 小笠原 一生 水村(久埜) 真由美
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.205-212, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
7

バレエにおいて上肢の動きは,豊かな表現を実現する上で欠かせない.しかし,表現を伴う上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を報告した研究はなく,表現に必要なスキルの詳細は不明である.そこで本研究では,白鳥の羽ばたきを模した上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を明らかにすることを目的とした.バレエ熟練者5 名とバレエ未経験者9 名に白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ,その際の肩,肘,手関節角度および各関節運動の運動範囲と,上肢挙上または下降局面の肩,肘,手関節角度の極値が出現する時間差を算出した.その結果,バレエ熟練者は,バレエ未経験者よりも前額面の運動および上肢の回旋運動が有意に大きく,上肢挙上局面では肘関節が肩関節や手関節に先行して動き,上肢下降局面では上肢が近位部から遠位部へとしなるように動くことが示された.