著者
河野 由美
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.122-135, 2006 (Released:2006-12-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

本研究は一つの実験と二つの縦断的調査から構成されている。研究の第1の目的は入棺体験によるDeath Educationの効果を実証的に検証することである。第2の研究目的は,その効果の持続性を縦断的研究(調査1)から明らかにすることである。第3の研究目的は,被験者の宗教性によりDeath Educationの効果がどのように異なるのかを解明することである(調査2)。結果から,①経験的Death Educationは否定的死観を低減させ肯定的死観を強める効果があること,②Death Educationの効果の持続性は死を知ること以外は乏しいこと,③経験的Death Educationの効果は被験者の宗教性により異なることが明らかとなった。
著者
小林 泰名 栗田 とも子 河野 由香里
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.1714-1-1714-9, 2018-03

障害学生支援は大学全体として取り組むべき課題であり,その中に「大学図書館の障害者へのサービス」が位置付けられる。北海道大学附属図書館では2012年3月から,障害学生支援担当部署と連携して「プリント・ディスアビリティのある利用者のための資料電子化サービス」等の障害学生へのサービスに取り組んでいる。2017年9月までの5年半の取り組みについて報告する。
著者
河野 由美
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.203-212, 2020 (Released:2020-09-10)
参考文献数
45
被引用文献数
1

NRNJデータベースに登録された2003〜2015年出生の極低出生体重児55,444名の予後を総括した.3歳までの死亡は全体で8.1%(NICU死亡7.5%,退院後死亡0.6%),超低出生体重児は13.9%(13.2%,0.7%)であった.3歳時評価例中,脳性麻痺6.8%,両側/片側失明2.1%,補聴器使用1.0%,新版K式発達検査DQ < 70または主治医判定の発達遅滞を16.9%に認め,いずれかを合併する神経学的障害(NDI)を19.3%に認めた.超低出生体重児のみでは,脳性麻痺9.2%,失明3.6%,補聴器使用1.6%,発達遅滞24.4%,NDI 27.8%であった.全対象における死亡またはNDIの割合は16.1%,超低出生体重児では25.6%であった.在胎22〜24週の2008〜2012年出生児を2003〜2007年出生児と比較すると,死亡,死亡または脳性麻痺,死亡または視覚障害,死亡または聴覚障害はすべての週数で減少した.死亡または発達遅滞は23週では減少したが22,24週は有意な変化を認めなかった.児の長期予後の改善は周産期医療の指標となり,産科と新生児科・小児科が連携した調査研究の継続が重要である.
著者
大倉 俊 長 優子 河野 由子 今泉 久仁子 河崎 靖範 槌田 義美 池田 啓一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3071-A3P3071, 2009

【目的】当院は脳性麻痺児に対し、整形外科的選択的痙性コントロール手術(OSSCS)を施行している.術後リハビリテーション(リハ)の経験から、当院における術後リハの現状を調査したので若干の考察を加えて報告する.<BR>【対象】2007年4月から2008年3月の間に当院にてOSSCSを施行した脳性麻痺児で、術後リハを実施した35名(年齢8.6±5.4歳、男児27名、女児8名、県内在住10名、九州内在住21名、九州外在住4名)を対象とした.<BR>【方法】手術の目的別に、歩容改善群21名(A群)、疼痛の緩和・股関節脱臼などの二次障害改善群9名(B群)、運動機能向上群5名(C群)の3群に分類し、それぞれの群において粗大運動能力分類システム(GMFCS)、年齢、入院期間、術後の変化を後方視的に調査した.<BR>【倫理的配慮】本研究はデータ抽出後、集計した後は個人情報を除去し、施設内の倫理委員会の審査を経て承諾を得た.<BR>【結果】A群はGMFCSIレベル13名、IIレベル7名、IIIレベル1名、年齢10.6±5.7歳、入院期間27.2±15.6日、術後の変化として股関節内転・内旋歩行が改善した、内反尖足歩行から足底接地歩行が可能となった、結果的に足底接地できたことで装具なしでの歩行が可能となったことが挙げられた.B群はGMFCSVレベル9名、年齢4.4±2.9歳、入院期間11±2.9日、術後の変化として痛みが和らいだ、自発運動が多くなった、脱臼が改善した、介助量が軽減したことが挙げられた.C群はGMFCSIIIレベル5名、年齢7.4±1.7歳、入院期間21±9.5日、術後の変化として座位が安定し座位保持時間が長くなった、立位姿勢が改善し耐久性が向上した、伝い歩きが数歩可能となったことが挙げられた.<BR>【考察】A群はGMFCSが高く、年齢が学童期から青年期であることからリハに必要な期間の入院が可能であり、入院期間内で歩容改善という目的がおおむね達成できたと思われた.しかしB群、C群では遠方からの入院や家族の事情のために早期退院が多く、退院後も病院・施設または家庭でリハを継続する必要があった.そのため、手術内容や手術による影響などを含めた細かな情報提供書、継続して行ってもらえる分かりやすい家族指導が重要になると考えられた.今後は入院中の変化を客観的に評価し、退院後の長期的な変化を検討することが課題であると思われた.
著者
狩谷 秀治 谷川 昇 中谷 幸 井上 理人 河野 由美子
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

(1)用手的ナノバブル生成器を用いて血栓化させた血管内にナノバブルを大量に発生させ、超音波を照射すると血栓溶解作用が促進された。(2)用手的ナノバブル生成器を発明し特許出願した。(3)用手的ナノバブル生成器を用いると小動物での実験にナノバブルを投与できることが証明された。今後マウス、ラット、ウサギの生体内でキャビテーションを生じさせることが可能である。(4)用手的ナノバブル生成器を用いると微量の液体で極めて高密度のナノバブルを供給することが可能である。これに超音波を照射することにより極めて高いキャビテーション効果を試験管やシャーレ内で発生させることができた。
著者
河野 由 小笠原 一生 水村(久埜) 真由美
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.205-212, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
7

バレエにおいて上肢の動きは,豊かな表現を実現する上で欠かせない.しかし,表現を伴う上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を報告した研究はなく,表現に必要なスキルの詳細は不明である.そこで本研究では,白鳥の羽ばたきを模した上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を明らかにすることを目的とした.バレエ熟練者5 名とバレエ未経験者9 名に白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ,その際の肩,肘,手関節角度および各関節運動の運動範囲と,上肢挙上または下降局面の肩,肘,手関節角度の極値が出現する時間差を算出した.その結果,バレエ熟練者は,バレエ未経験者よりも前額面の運動および上肢の回旋運動が有意に大きく,上肢挙上局面では肘関節が肩関節や手関節に先行して動き,上肢下降局面では上肢が近位部から遠位部へとしなるように動くことが示された.
著者
河野 由美
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

低出生体重児では注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症 (ASD)などの発達障害に類似した特異的な行動発達を高率に認めるといわれる。その原因はいまだ不明だが、子宮内、新生児期の高度なストレスによるエピジェネティクスの関与も疑われる。ストレス反応には、ヒトGR 遺伝子(NR3C1)のほかに、コルチゾール不活化酵素である11β- hydroxysteroid dehydrogenase 2遺伝子(11βHSD2) 、セロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)などが関与していることが知られている。本研究では、この3つのストレス反応関連遺伝子のメチル化解析を行うことを目的とした。2019年度では前年度に引き続き、1) 研究機関で運用している「NICU入院児の検体保存バンク」の試料を用いて前出遺伝子のメチル化解析を行うこと、2)妊娠経過、在胎期間、出生体重の周産期情報、NICU入院期間中にみられる合併症、治療についての臨床情報を用いることについて、対象の選択と同意取得を行った。新たに「NICU入院児の検体保存バンク」での試料保存している12名から同意を得た。昨年度分とあわせて18名25検体からDNAを抽出した。先行文献からセロトニントランスポーター遺伝子(SLC6A4)の解析領域候補として5'UTR領域の20CpGのメチル化率を測定することとした。先行研究で解析したヒトGR 遺伝子(NR3C1) プロモーター領域の15CpG サイトとあわせて、現在第1回目のメチル化解析をバイサルファイトシークエンスにより行っている。また対象となる18名の周産期・新生児情報を後方視的に診療録から取得し、昨年度作成したデータベースに情報を追加した。
著者
小泉 由美 河野 由美子 久司 一葉 木本 未来 坂井 恵子 酒井 桂子 坪本 他喜子 橋本 智美 北本 福美
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.4_91-4_99, 2012-09-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
17

タクティールケアは,スウェーデンで開発された施術者の手で背部や手部・足部を『柔らかく包み込むようにゆっくり触れる』ケアである。本研究は,タクティールケアの効果を明らかにすることを目的として,実践記録の施術対象者の状態や発言内容を“反応”として内容分析を行った。結果,タクティールケアの反応として,【心地よかった】【リラックスした】【穏やかになった】【眠気を催した】【夜よく眠れた】【積極性が増した】【温かくなった】【温かさが持続した】【熱くなった】【痛みが和らいだ】【腸の動きが変化した】【便通が良くなった】【唾液が増えた】の13カテゴリーが生成された。効果としては,情緒の安定を促す,良質な睡眠を促す,高齢者の活動性を高める,温かさが持続する,痛みを緩和する,排便コントロールを促す,が見出された。タクティールケアは,臨床や介護現場において活用できる手法であると考える。
著者
河野 由香里 赤石 記子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>[目的] </b>ホワイトソルガムはグルテンを含まないために、グルテンフリー食品としての利用が期待される。我々はホワイトソルガムの基礎研究として、糊化特性や調理特性を明らかにしてきたが、今回は得られた知見をもとに実際の調理への応用適性を検討することにし、バッター状食品の応用例としてクレープとフライ衣を、ドウ状食品の応用例として揚げドウを想定し、嗜好性、外観および物性面から小麦粉製品の代替適性を検討した。<br><b>[方法]</b> 揚げドウは、粉、BP、砂糖、水を基本材料とし、予備実験からホワイトソルガム粉ドウの適性加水量を小麦粉の150%と決定し、揚げドウにした場合の吸油率・脱水率を測定比較した。また膨化を改善するためにアルカリ水(pH約9)を使用した揚げドウの比容積、破断強度、色差測定および官能評価を実施した。クレープは粉、砂糖、水を基本材料とし、バッター生地を調製直後2時間以上放置後に焼成した。カツレツ試料の衣に用いるバッターも同様に調製し、製品の官能評価及び破断試験を実施した。<br><b>[結果]</b> ホワイトソルガム粉で調製した揚げドウは、吸油率が約9%(小麦粉約15%)、脱水率が約35%(小麦粉約30%)と軽くてヘルシーな揚げ物が得られた。また、アルカリ水と重曹の使用によりホワイトソルガム粉の膨化の悪さが有意に改善されたが、脆さと色差が増した。薄力粉バッターの粘度が調製30分後まででピークに達するのに対し、ホワイトソルガム粉バッターの粘度は、放置時間とともに上昇する傾向にあったことより、ホワイトソルガム粉でつくる食品は、調整後の放置時間が必要不可欠であることが明らかにされた。ソルガムは淡白な味なので副材料や調味料の工夫で嗜好性の向上が期待できる。
著者
河野 由 水村 真由美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.175_1-175_1, 2016

<p> バレエダンサーは上肢の動きで作品に登場する人物の役柄や感情を表現するが、表現を伴う動作には、経験者であっても大きな個人差が存在する可能性が高い。そこで本研究の目的は、表現を伴う上肢動作の運動学的指標の個人差を上級者と中級者で比較することにより、身体表現の個人差と技術水準の関係を明らかにすることとした。対象は、海外のバレエ団に所属するプロ3名、アマチュア上級者6名、アマチュア中級者14名であった。対象者にバレエ作品『白鳥の湖』でみられる白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ、その様子を光学式カメラで撮影した。その後、肩、肘、前腕、手、MP関節角度を算出した。各対象者の上肢挙上および下降局面の時間を100%として規格化し、規格時間1%ごとに各関節角度を平均した後、変動係数(CV)を算出した。その結果、算出した関節角度の中で手関節屈曲/伸展動作のCVが最も大きく、特にプロでは上肢下降局面の最大下降付近でCVが大きかった。これらの結果から、表現を伴う上肢動作において、技術水準が高くなると手関節屈曲/伸展動作の個人差が大きかったことから、手関節屈曲/伸展動作にダンサー個人の表現特性が内在している可能性が示唆された。</p>
著者
渡邊 裕子 小山 尚美 流石 ゆり子 河野 由乃 萩原 理恵子 森本 清 水口 哲
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.9-18, 2010-03-01

「活力に満ちた地域づくりの指導者養成を目指す」が目的の高齢者のための生涯学習大学校に在学し,看護学生との交流事業に参加した24 名を対象に,若者イメージと事業に対する期待感について調査を実施した.対象の地域リーダー高齢者は「世間一般の今どきの20 歳代の若者」イメージとして,「話やすいが何を考えているかわからない」という傾向を持っていた.また「若者との交流」への期待度は95.8%と高く,分かり合いたい思いがある一方,自分から知恵を伝授するという意識を持って参加した人は少なかった.交流では,高齢者が老年期の意味を理解し,歳を重ねたからこそ備えている知恵を若い世代に伝授するという意識を持って参加できるような導入と,若者に対する理解し難い感情を払拭し,若者から求められているという実感を持って,自発的,積極的かつ自然に交流を求める姿勢が持てるような企画・調整が必要である.
著者
小山 尚美 流石 ゆり子 河野 由乃 村松 照美 郷 洋子 林正 健二 小野 興子 横山 貴美子 伊藤 健次 城戸 裕子 波木井 昇
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2009-02-27
被引用文献数
1

過疎農山村地域の独居後期高齢者の現在・今後の生活への思いを明らかにすることを目的にA町の6名に半構成的面接を行った。【猿や猪が農作物を喰い荒らして困る】【欲を言えばもう少し交通の便を良くして欲しい】と山間部特有の問題【年々歳をとってこのまま元気でいられるかどうか先のことはわからず不安だ】【みんな歳をとり昔のようにいかなくなり悔しい】【災害や跡継ぎがないことが心配だ】等の加齢変化の実感と不安を抱えていた。これらに【みんなとの交流は楽しみだ】【みんなが支えてくれてるので安心して生活できる】と田舎ならではの良さが勝り【ここでの今の生活は幸せだ】【子供の所へ行くより住み慣れたここに最期までいたい】と自ら今の生活を選択し【今の生活を維持する為にいろんなことを心掛けている】と日々努力をしていた。鳥獣被害対策、交通サービスの充実、現存の住民支援ネットワークの活用、役割保持の支援の必要性が示唆された。