著者
松下 恭之 水田 有彦
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

当科でおこなった骨結合型インプラントと天然歯との連結症例で破折したものを走査電顕にて観察を行ない、いずれも金属疲労が主因であることが明らかとなった。そこで未使用のインプラント体について繰り返し疲労試験を行ない、単体使用では疲労はおきない程度の強度を有していると考えられた。しかしながら天然歯と連結した場合には、天然歯への荷重がインプラントネック部での最大引張応力値の増加に関与していることが示唆された。またことにその支台となる天然歯の周囲骨レベルが減少することがインプラントネック部で引張応力の集中をまねき、破折することが示唆された。次に三次元有限要素法解析により、1-インプラントシステム(天然支台歯1本とインプラント1本からなる3ユニットブリッジ)では、天然歯とインプラントとはリジッドな連結をするのが最も骨内応力を緩和できることが示唆された。半固定性の連結ではアタッチメントの位置が近心でも遠心でも、またメール・フィメールの位置関係が変化しても、骨内応力に大きな違いはみられなかった。さらに2-インプラントシステム(天然支台歯2本とインプラント2本のブリッジ)ではインプラント同志を連結して、天然歯とはつながない、フリースタンディングの状態とすることが骨内応力の緩和、上部構造の長期安定にもっとも効果のあることが示唆された。