著者
篠原 寿彦 水谷 央 下野 聡 長谷川 拓男 高橋 宣胖 西井 寛 落合 和彦 遠藤 泰彦 酒田 昭彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.277-281, 2001-03-01
被引用文献数
4

症例は50歳の女性.平成11年1月頃より月経周期の度に腹痛と腹満感を感じていた.月経が終了すると腹痛も改善していたため放置していたが, 平成12年2月再び著明な腹痛が出現し来院した.腸閉塞の診断にてイレウス管を挿入して保存的にも軽快するも小腸造影にて回腸末端付近に狭窄を認めたため開腹手術を行った.手術所見では, 回腸末端より10cmの所に全周性の潰瘍瘢痕様の絞扼と子宮底部に20mm大の筋腫と右卵巣にチョコレート嚢胞を認め回腸部分切除術および子宮全摘術, 両側付属器摘出術を行った.病理組織診断にて右卵巣に内膜症を認め, また回腸の絞扼部には粘膜下層から漿膜にわたって同様の内膜症病変が多発していたため, 異所性子宮内膜症による回腸絞扼と診断した.回腸子宮内膜症による腸閉塞の1症例を経験したので本邦報告35例を加え文献的考察を行った.