著者
石黒 晴哉 木村 貴純 二上 敏樹 吉澤 海 安部 宏 須藤 訓 相澤 良夫 酒田 昭彦 田尻 久雄
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.679-686, 2011 (Released:2011-10-27)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

症例は80歳,女性.2008年9月に肝障害で当科紹介となり,肝生検を含めた精査にて原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断した.その後,経過観察中の2009年9月まで徐々に汎血球減少が進行し,心嚢水貯留が出現した.抗核抗体が高値で,2本鎖抗DNA抗体が陽性であり,米国リウマチ学会の全身性エリテマトーデス(SLE)診断基準の11項目中4項目に合致し,SLEと診断した.さらに,2009年10月の腹部CTで肝S2に径22 mm大の肝細胞癌(HCC)を認めたため,SLEの加療として経口プレドニン20 mgを開始し汎血球減少症,心膜炎の改善を得た後,2010年1月に肝動脈塞栓術およびラジオ波焼灼療法を施行した.術後経過良好で現在経過観察中である.今回,我々はPBCの経過観察中にSLEを発症し,さらにHCCの発生も認めた,稀少かつ示唆に富む高齢のPBC症例を経験したので報告する.
著者
篠原 寿彦 水谷 央 下野 聡 長谷川 拓男 高橋 宣胖 西井 寛 落合 和彦 遠藤 泰彦 酒田 昭彦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.277-281, 2001-03-01
被引用文献数
4

症例は50歳の女性.平成11年1月頃より月経周期の度に腹痛と腹満感を感じていた.月経が終了すると腹痛も改善していたため放置していたが, 平成12年2月再び著明な腹痛が出現し来院した.腸閉塞の診断にてイレウス管を挿入して保存的にも軽快するも小腸造影にて回腸末端付近に狭窄を認めたため開腹手術を行った.手術所見では, 回腸末端より10cmの所に全周性の潰瘍瘢痕様の絞扼と子宮底部に20mm大の筋腫と右卵巣にチョコレート嚢胞を認め回腸部分切除術および子宮全摘術, 両側付属器摘出術を行った.病理組織診断にて右卵巣に内膜症を認め, また回腸の絞扼部には粘膜下層から漿膜にわたって同様の内膜症病変が多発していたため, 異所性子宮内膜症による回腸絞扼と診断した.回腸子宮内膜症による腸閉塞の1症例を経験したので本邦報告35例を加え文献的考察を行った.