- 著者
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永森 静志
水谷 悟
新谷 稔
- 出版者
- 東京慈恵会医科大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1995
平成8年度におけるこのプロジェクトにおける成績は、申請者らが樹立したヒト由来肝細胞を、ガラス担体(シラン)を用いたラジアルフロー型バイオリアクター(RAD)で培養すると、担体の内部や表面に細胞が3次元的配列を保ちながら増殖した。これは走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡で観察可能であった。酸素消費量やグルコース消費量から算定し10^8cells/ml-matrix以上の高密度培養が可能で、200ml容量のRADで総細胞数は2.88×10^<10>個となった。他の重要な肝機能としてのアンモニア代謝や、薬物代謝としてナファモスタットメシレートやアンチピリンについて検討し、機能していることを確認した。RAD本体の改良は、坦体の粒子や孔の大きさ、表面のコーティングなど検討したが現在の坦体に勝るものは見つかっていない。体外循環量の減量には、50ml容積のリアクターの作成と回路チューブの狭小・短縮により総体外循環量を200ml以下に減量した。また体外循環回路の改良は血漿への酸素の供給やRADの血漿流速のコントロールが必要である。協同開発者の旭メディカルとエイブルによりフォローファイバー薄膜による酸素供給システムと、RADへの流速を維持するための血漿リサイクル回路を作成した。、その制御システムの基本的設計の終わり、実用化への開発を行っている。一方RADを生体に装着した際の安全性確認のために、ブタを用いて検討を加えた。実際のヒトへの応用を考え、頚静脈にカテーテルを挿入し毎分30mlの血漿を分離、これをRADに環流した。5時間の還流経過中ブタのvital signは安定していた。一般に体外循環システムで問題となる血管拡張、降圧作用のあるbradykininの血中濃度を測定したところ、細胞培養の有無に関わらず、増加傾向を認めなかった。このシステムの生体への安全性が明らかとなった。