- 著者
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水谷豊文//〔著〕
- 出版者
- 写
尾張藩士水谷豊文(1779-1833)編著の鳥類図譜。和名のいろは順に排列し、彩色図に解説を付す。当館本は、題箋に「水谷禽譜」とあり、豊文の自筆本のようにも伝えられているが、豊文旧蔵本(名古屋市博物館蔵)と比べて稚拙な描写、単調な彩色の絵が多い。また、本書第1冊目巻首の4丁は、匡郭外右下部に「丹波氏蔵」と刷り込まれた料紙が使用されるなど、全体的に料紙が一様でないこと、この巻首4丁の最終丁末尾には〔明治〕14年7月付で、豊文の弟子で本書の旧蔵者である伊藤圭介(1803-1901)による、「右禽譜中不足分物品識名(豊文の著書)で引合不足ノ分ナリ」といった書き入れがあること、また、解説文の字体が幾種類かみられる上に、所々に圭介やその孫篤太郎による朱筆の訂正や書き入れ等が見られること等から、同一人の手になるものではなく、豊文の自筆本でもないことが推知される。当館では、他に本書の写本のひとつである『水谷氏禽譜』(8冊、請求記号:寅-12)等も所蔵する。