著者
永井 勝也
出版者
香川生物学会
雑誌
香川生物 = Bulletin of the Biological Society of Kagawa (ISSN:02876531)
巻号頁・発行日
no.1, pp.10-13, 1953-12-01

水耕法により培養したソラマメの根を2・4-Dで処理し, その影響を調べたのである. 植物生長素としての2・4-Dはこの実験範囲内では0.00001%より高濃度では生長抑制方向に働き, 0.00001%より低濃度では促進作用して働く, そして2.4-Dが高濃度の場合には根端細胞に傷害を起さすと共に茎の基部に異常裂開を起さして枯死に至らしめる. 0.00001%程度では根端の柔組織細胞に異常分裂さし肥大現象を起さす為, 根の作用が減退し生長が抑制されるのである. そして2・4-Dの作用が減退すると又正常な生長を続けるのである. 然しながらこの実験を今一度同一条件下で検定する必要があり, 他の?科植物についても実験を行わねばならないであろう. この実験は野口先生の御指導の下に行つた深く感謝の意を表する. なお有益な御助言を賜つた小野, 矢崎両先生に衷心より謝意を申し上げる。
著者
尾上 哲治 永井 勝也 上島 彩 妹尾 護 佐野 弘好
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.4, pp.222-236, 2004-04-15
被引用文献数
5 22

九州・四国のジュラ紀新世〜白亜紀古世付加体である三宝山付加コンプレックスから産出する玄武岩の産状・岩相及び岩石学的特徴を記載し,化学組成(主成分元素,微量元素)を検討した.玄武岩類は,主に泥質岩および玄武岩質火山砕屑岩基質中に岩塊として産出し,interpillow limestoneを伴う枕状溶岩と塊状溶岩,玄武岩角礫岩,ハイアロクラスタイトから構成される.玄武岩の産状からは陸源砕屑物の堆積場で噴出した証拠は認められない.変質による移動が少ないと考えられている元素(Ti,Zr,Nb,Y)を用いた地球化学的判別図では,多くの玄武岩がTi,Nbに富む海洋島玄武岩(OIB)に類似する.したがって,三宝山付加コンプレックスの玄武岩は,太洋域でのプレート内火成活動によって形成された海山に起源を持つと考えられる.