著者
永井 英夫
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學雜誌
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.617-619, 1959
被引用文献数
3

いろいろの金属のジチゾン錯塩をクロマトグラフ的に分離するには,従来の方法では金属ジチゾン塩を主としてクロロホルムや四塩化炭素などの疎水溶媒にとかした状態で展開を行なっている。著者はジチゾンおよびその金属錯塩が,水および親水性溶媒に対して・比較的溶解度が小さい点を逆に利用して,沈殿クロマトグラフに類似した方法で金属ジチゾン塩の分離を試みた。結果はCu2+,Cd2+,Hg2+,Pb2+,およびBi3+,の5種の第二属陽イオンの識別に十分な分離状態を示した。試料としてそれらの金属の硝酸塩(Hg2+のみは塩化物)を弱硝酸酸性水溶液にして用いた場合に,最良の結果を得た展開剤は0.1N硝酸:アセトン=10:1の溶媒であった。