著者
大石 正夫 永井 重夫
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.800-805, 1983

新しい注射用セフェム系抗生剤Cefpiramide (CPM, SM-1652) の眼科臨床応用のために, 基礎的・臨床的検討を行なった。抗菌スペクトルはCefazolin, Cefoperazoneに類似して<I>P. aeruginosa</I>にも抗菌作用を示した。臨床分離の<I>S. aureus</I> 20株は0.39~3.13μg/mlに感受性分布を示して, 0.78μg/mlに10株 (50%) があって分布の山をなした。<I>P. aeruginosa</I> 20株は1.56~50μg/mlに分布して, 12.5μg/mlに8株 (40%) がみられた。白色成熟家兎に50mg/kg1回筋注または静注して, 眼内動態を検討した。筋注で注射1時間後に前房水内に1.88μg/mlのpeak値を示し, 房血比は10.16%であった。静注により1/2時間後2.94μg/mlのpeak値で, 14.59%の房血比を示した。筋注, 静注時とも外眼部, 眼内部組織へはかなりの高濃度の移行が認められた。臨床的に, <I>S. aureus, S. epidermidis</I>による外麦粒風<I>S. viridans</I>, GNRによる角膜潰瘍, <I>S. epiderrrzidis, S. viridans</I>による化膿性虹彩毛様体炎, <I>S. hemolyticus</I>による眼窩蜂窩織炎ならびに<I>S. epidermidis</I>による全眼球炎の全10症例に, 本剤1回1.0g, 1日1~2回静注または点滴静注して臨床効果を検討した。著効3, 有効6の結果が得られた。副作用として特にみとむべきものはなく, 血液検査, 肝腎機能検査で異常値を示したものはなかった。