著者
小野 一 永吉 照人 望月 明
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大学・神戸大学農学部研究報告 (ISSN:0367603X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.107-110, 1968

1) アクリルアミドを担体としたディスク電気泳動を用いて, コムギの胚乳に含まれるアミラーゼの分析を行なった。2) 供試材料はTriticum monococcum var vulgar, T. timopheevi, T. durum var Stewart, およびT. aestivum var Chinese Springの4種である。3) 貯蔵種子のアミラーゼ含量は低く, T. timopheeviとT.durumにおいて, 僅かに1本の活性部位を検出できた。4) 発芽後時間と共にアミラーゼ活性は急にたかまる。発芽後3日目の胚乳のザイモグラムから合計9つのアミラーゼアイソザイムを検出した。それらに易動度の小さいものからA, B, C, ……, Iと符号をつけた。5) A, B, C, Dはα-アミラーゼ, G, H, Iはβ-アミラーゼと推定した。6) A, B, バンドは供試4種のコムギに共通の主バンドで, 各種が共通にもつAゲノムがこの形成に関与すると推察された。一方IはT. timopheeviに個有の主バンドで恐らくGゲノムに由来すると考えた。
著者
永吉 照人
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.313-319, 1981-01-30

アクリルアミドゲル等電点電気泳動法を用い, 六倍種コムギTriticum aestivum cv. Chinese Springの各種異数性系統(nullisomics, nulli-tetrasomics, ditelosomics, penta-nullisomics)のアミラーゼアイソザイムを分離し, これらの示すザイモグラムの比較を試みた。この結果Chinese Springコムギdisomicsの発芽種子胚乳に存在するα-, β-および第三グループのアミラーゼアイソザイム22種のうち14種について, その発現に関与している染色体腕が明らかとなった。すなわち, α-アミラーゼに関してはα-3,α-5,α-6および, α-7の各アイソザイムはそれぞれ5B染色体長腕, 6D染色体β腕, 6A染色体β腕, および4A染色体β腕が関与していた。β-アミラーゼに関してはβ-1およびβ-3アイソザイムは, それぞれ4A染色体のβ腕および7D染色体の長腕が関与し, β-5,β-7およびβ-9の3種のアイソザイムは3D染色体の長腕が関与していた。第3グループアミラーゼに関しては, III-1およびIII-3アイソザイムは7A染色体の長腕が, III-2アイソザイムは7D染色体の長腕が関与していた。またIII-4およびIII-5の両アイソザイムは7B染色体の長腕が関与していた。