著者
伊藤 和彦 中川 成男
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.537-546, 1985-01-31

印伝革の素材となる脳漿なめし白革はどのような革か, 走査型電子顕微鏡と光学顕微鏡で皮練維の分離及び脂質の分布状態を観察した。なめし剤となるウシ脳については, 新鮮脳を1年間貯蔵して腐敗させた脳漿について, これらの一般組成と共に, 貯蔵中の酸敗による脂質の変性成分を溶剤分画法によって分離すると共に, 特に低分子のアルデヒド成分についてはガスクロマトグラフィーによって分離同定した。脳漿なめし白革の特性に関しては, この革と類似の姫路白革, セーム革などと比較して, 熱収縮温度, 熱溶脱窒素, 耐酸, 耐アルカリ性, トリプシン消化性などの相違から検討し, 最後に革の機械的強度についても試験を行った。得られた主な結果は次の通りである。1) 脳漿なめし前後のへら掛けの効果が, 皮線維の分離の状態から認められた。2) 新鮮脳と脳漿との比較で, 一般分析, 脂質の特数, 脂質の溶剤分画及びアルデヒドの同定などの結果から, ウシ脳の脂質は酸敗により, 低分子のアルデヒド, 遊離脂肪酸などに変性されているのが認められた。3) 脳漿なめし白革の特性を, これと類似の姫路白革, セーム革などと比較すると, 耐熱, 耐酸, 耐アルカリ, 耐酵素性などから, 姫路白革, 鹿生皮とよく似た性状で, これらの結果からみて, なめしの効果はかなり少ない。印伝革の柔軟性は鹿皮線維の特別な性状とコラーゲン線維束のほぐれによるものであり, 特有の滑る様な感触は脳の貯蔵中に生じたリン脂質分解産物の影響が大きいものと思われる。特に有効な鞣皮成分はなく, 油脂を用いて, 単に機械的に皮線維をもんで柔らかくするのが原始的製革法の一つのあり方である。
著者
前川 進 中村 直彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.181-184, 1979
被引用文献数
2

花木の切枝促成時の環境条件と花色との関係を明らかにするため, モモ'矢口', ボケ'緋の御旗'及びサクラ'十月桜'の切枝を8∿10cmの長さに調整し, 10%しょ糖溶液に切口を浸して種々の温度及び光条件下で促成を行い, 次のような結果を得た。1) 15°, 20°, 25°及び30℃の温度条件下でモモ花らいの発育は温度が低くなるにつれて遅くなったが, アントシアニンの生成量は増加した。いずれの温度下においても, アントシアニン含量は開花前に最高に達し, その後開花に近づくにつれて減少した。ボケとサクラについても同様の結果が得られ, 促成温度の低下とともに多くのアントシアニンを生成した。2) 光のアントシアニン生成に対する影響について, モモでは暗黒下で多くの生成が見られたのに対し, ボケとサクラでは, アントシアニンの生成は暗黒下で殆んどなく, 可視光の照射によって刺戟された。特にサクラでは可視光とともに紫外線の照射によって, さらにアントシアニンの生成量は増加した。
著者
久保 知義 中川 成男 近藤 健次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.140-150, 1971

さきに, 皮革の製造工程における皮組織を偏光顕微鏡によっても十分に観察し得ることがわかった。それ故に, 本実験では, 未鞣製皮, ならびにクロム革, ジルコニウム革, 植物タンニン革および植物タンニン再鞣クロム革の線維構造の観察を行ない, また, これらの皮革を比較的高温熱処理を行なった場合のコラーゲンの結晶構造の変化を複屈折性について観察した。1. 皮および種々の鞣製革を偏光顕微鏡で観察すると, 未鞣製皮のコラーゲン線維束の直径は比較的小さく, クロム革あるいはジルコニウム革の鞣剤低含量革のそれは未鞣製皮とほぼ同じであった。しかし, 鞣剤含量がより増加すると, コラーゲン線維束の直径は大となり, 鞣剤を結合することによって線維密度は大きくなり, 多孔性が失われる傾向があった。2. 種々の皮革を比較的高温で処理することによって, 網様層のコラーゲン線維束の直径は減少する傾向が認められ, 熱変化がさらに進むと, 未鞣製皮ならびに鞣製革の鞣剤含量の少ない場合, コラーゲン線維は複屈折性が全面的に, あるいは部分的に失われた。この現象は, 未鞣製皮ならびに植物タンニン革とジルコニウム革において同じ様な傾向で認められ, 水分約30%, 熱処理温度, 130℃以上において認められた。しかし, クロム革はこれらよりきわめて安定であった。3. コラーゲンの結晶構造の熱処理による変化, すなわち複屈折性の変化は, 鞣剤の種類, その量および水分の量によって影響を受けることから, コラーゲンの非結晶部分への鞣剤の結合様式が, コラーゲンの結晶構造にもある程度影響を与えるものであることを示唆している。
著者
山本 千景 河野 潤一 西藤 岳彦 清水 晃
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.7-12, 1996-01-30

ブドウ球菌が産生する外毒素によって引き起こされる病原性の発症機序にはT細胞の異常活性化が関与すると考えられている。本研究では,SEA&acd;SEDおよびTSST-1の免疫学的作用を明らかにする一環として,各毒素投与マウスにおける胸腺および脾臓のT細胞のサブセット解析を行った。1. TSST-1 25ng投与マウスの胸腺においてはヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞の割合は共に増加しており,脾臓においても各T細胞は増加していた。微量(17pg=1.7×(10)^<-2>ng)投与マウスでは胸腺におけるヘルパーT細胞が増加していた。2. SEAとSEBの25ng投与マウスでは,胸腺の総細胞数の減少と脾臓の総細胞数の増加が認められた。またSECとSEDについては,胸腺総細胞数が増加していた。微量(17pg)投与マウスにおいてSEA&acd;SEDについての胸腺では,いずれもヘルパーT細胞の増加が認められ,SEA,SEB,SEDでは細胞傷害性T細胞の増加も認められた。以上の結果から,ブドウ球菌外毒素はいずれも微量の投与によってマウスの胸腺や脾臓のT細胞サブセットに大きな影響を与えることが明らかとなった。また,その作用はTSST-1において顕著であった。
著者
広瀬 智久
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.31-35, 1971
被引用文献数
1

1) 貯蔵トマトの追熟中のペクチン質並びにペクチン酵素の変化を追究する目的で, 樹熟果の成熟中の変化を調べ, これと比較検討した。2) 水溶性ペクチンは, 未熟果からDark Pink stage頃まで, ほとんど増減がなく, それ以後次第に減少した。追熟果では樹熟果に比較して, Breaker stageからTable Ripe stageにかけて, かなり低い値であった。3) Calgon 可溶性ペクチンは, 未熟果では少く, 成熟につれて増加した。全期間を通じて追熟果の含量がやや大であった。4) 塩酸可溶性ペクチンは, 成熟に従って減少した。追熟果の減少速度は樹熟果に比べてかなり緩慢であった。5) Calgon抽出, 塩酸抽出を行った後のしゅう酸アンモニゥーム可溶性ペクチンは, 成熟とともに減少した。追熟果は樹熟果との間に全く差異が認められなかった。6) 全ペクチンは成熟とともに減少したが, 追熟果の減少の方が緩慢であった。7) ペクチンエステラーゼ活性は, 成熟の初期に急増し, Breaker stage以後変化がなかったが, 追熟果は全期間を通じてやや小さい値をとった。8) ポリガラクツロナーゼ活性はBreaker stageまで, わづかづつであったが, それ以後成熟未期まで著しく増加した。追熟果もほぼ同様であったがDark Pink stage頃やや低かった。
著者
南条 厳 小林 桂 吉田 重喜
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.111-120, 1995-01-30

梅山豚の繁殖豚の飼育及び,子豚の生産・育成を通して得た調査結果を纏めると次のとおりである。1. 梅山豚の外貌は皮膚が薄墨色で,深い皺があり,毛は疎ら,耳は大きく垂れ,体型は背幅,腰幅薄く尻は傾斜し,腿とともに厚みに欠ける。種豚の体重は成豚で雄は約170kg前後,雌は150kg前後である。性質はいたって温順である。2. 種豚に対する緑葉野菜の給与は必要不可欠ではなく,種豚用配合飼料のみでもよいことが分かった。3. 耐病性については,子豚に乾いた咳をするものがでて,剖検でも肺炎を裏付ける結果がでた。4. 成熟は極めて早く,導入間もなく分娩をした2頭の受胎月齢が4ヶ月前後であったと,推定されることからもその早熟性は,充分に窺うことが出来た。5. 発情の徴候は非常に明瞭であった。6. 母体による子豚の圧死の危険がないため,分娩柵を必要としなかった。7. 母豚の平均産子数は10.1&acd;15.9頭で産子豚のうち生産子豚は8.7&acd;14.4頭であり,母豚によってはようきひ号の様な産子の40.8%が死産という生産子成績の悪い例も見受けられた。8. 子豚の平均生時体重は,父豚も梅山豚の純粋子豚では,1.0kg弱で最小体重0.38kgの子豚も活力旺盛であった。父が金華豚では梅山豚純粋種と同程度で,父がランドレースでは純粋子豚に比して約15%程度大きくなった。9. 母豚の離乳後の発情再帰日数は4.5±0.7&acd;10.2±2.8日で,個体によってかなりの差がでた。雄の許容日数は1.9±0.6&acd;2.2±0.9日であり,妊娠期間は112.7±1.2&acd;115.6±1.6日であった。10. 母豚の乳頭数は16&acd;18でヨーロッパ改良種に比して多く,産子豚では16以上の乳頭数の子豚は,母豚4頭の総産子319頭の85.6%であった。F_1子豚では父が金華豚の場合は,純粋種と同程度かもしくは多いのに比し,父がランドレース種では平均60%弱であった。11. 例数は少ないが離乳時(35日齢),3ヶ月齢の体重は,ヨーロッパ改良種との比較でほぼ同等の発育成績を示した。又,一般に仕上げ期と見做される7ヶ月齢においてもヨーロッパ改良種と比べて遜色はなかった。
著者
水野 利雄 氷上 雄三 中西 三生
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.151-155, 1971

ラットの尿石形成に及ぼす各種塩化物の影響を調べた。尿石の形成はラットの膀胱内へ亜鉛核をそう入することにより行ない, 塩化物は飲料水に溶解した形で与えた。結果は次の通りである。1. 塩化アンモニウム, 塩化ナトリウムおよび塩化カリウムはいずれも尿石の形成を予防する効果を有し, その効果の程度は塩化アンモニウム>塩化ナトリウム>塩化カリウムの順であった。なお, 塩酸は上記塩化物よりも尿石予防効果が大であった。2. 塩酸および塩化物の投与により, 尿のpHは処理対照区の7.4から6.2&acd;6.8に低下し, 尿の塩素量は増加した。
著者
清水 晃 岡田 幸助 河野 潤一 寺西 永 木村 重 矢挽 輝武 南條 巌
出版者
神戸大学農学部
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.p259-267, 1987
被引用文献数
1

兵庫県下の1養豚場で発生した豚の皮膚病について, その発生状況ならびに細菌学的および病理学的検索を行い, 次のような結果を得た。1. 1979年8月, ランドレース種で, 生後2&acd;3日齢の1腹10頭中7頭に皮膚病の発生が認められ, うち3頭が死亡した。2. 皮膚病の症状は, 滲出性表皮炎のそれと極めて類似していた。皮膚の異常は鼻, 眼瞼周囲, 耳の発疹に始まり, 重症例では全身の表皮および被毛に粘稠に富む滲出物が膠着し, 黒褐色を呈した。3. 皮膚炎の病理組織学的変化は, 表皮の細菌塊を伴う滲出物, 錯角化症, 上皮細胞の空胞化と壊死, 棘細胞症などの病像を認め, 滲出性表皮炎と診断された。4. 発症豚の皮膚病変部および死亡豚の心臓, 肝臓, 腎臓, 脾臓からS. hyicus subsp. hyicusを分離した。また, 母豚の乳頭周辺部からも該菌が検出された。5. 分離株のS. hyicus subsp. hyicus型別用セットによるファージ型別では, 供試菌18株中17株が型別され, 型別可能株はS9/S39/S188とS9/S188の2つのファージ型に分けられた。発症豚7頭中5頭はS9/S39/S188のファージ型で, 残り1頭と死亡豚では両ファージ型菌が同時に検出された。また, 健康な母豚の乳頭から分離された菌株も, この2つのファージ型を示した。このことより, 今回の滲出性表皮炎にはこの2菌型が関与していたことが示唆された。6. 分離株18株の3濃度ディスク法による薬剤感受性は, 全株がPC, PcA, PcM, SPM, LCM, CM, TC, KM, GMおよびCERに高度の感受性を示した。7. 発症豚に対し, アルコール, グリセリン, クレゾール混合液を全身に塗布して治療を試みたところ, 軽症例では, 症状は漸次軽減した。本論文の要旨は, 1984年4月, 第97回日本獣医学会において発表した。 / In August, 1979,a type of dermatitis occurred suddenly in 7 newborn pigs of a litter, 2 or 3 days old, on a farm in Hyogo prefecture. Three of the affected pigs died 3-9 days after the onset of the disease. It presented symptoms qutie similar to those of exudative epidermitis. Eczeme and eruption extended from the auricular and abdominal region to all over the body. The surface of the body was covered by the exudate and its color turned dark brown. Histopathologic examination of skin from a dead pig revealed lesions characterized by exudation and accumulation of parakeratotic cellular debris on the epidermal surface, vacuolar degeneration and acanthosis of the epidermis. Coccoid bacterial organisms were abundant in the epidermal exudate. Necrosis and ulceration of epidermis were seen in severe lesions. From the above findings, the pig was diagnosed as exudative epidermitis. Staphylococcus hyicus subsp. hyicus was isolated in pure culture from the skin lesions of the affected pigs, and from parenchymatous organs (heart, liver, kidney and spleen) of the dead pig. The organism was also isolated from the teat of the mother sow of the previously described pigs. A total of 18 isolates of S. hyicus subsp. hyicus from the pigs with exudative epidermitis and the mother sow were subjected to phage typing using the 4 S. hyicus phages, S9,S13,S39,and S188. Seventeen isolates (94.4%) were typable at routine test dilution and were differentiated into 2 phage patterns of S9/S39/S188 (n=11) and S9/S188 (n=6). All of the 18 isolates were highly sensitive to penicillin, oxacillin, ampicillin, erythromycin, spiramycin, lincomycin, chloramphenicol, tetracycline, kanamycin, gentamicin and cephaloridine.
著者
東 順三 長沢 藤延
出版者
神戸大学農学部
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.325-330, 1975

含有粘土の種類を異にする土壤における粒団生成の実態を明らかにする目的で, 前報のハロイサイト系人工土壤における粒団の造成実験に引続き, 本報ではモンモリロナイト系人工土壤(ベントナイト粘土・海砂・ガラス玉混合物)に腐植, アルミニウム, 鉄および土壤改良剤(アロン・ソイラック)を施用し, 前報と同様に, 湿潤と湿乾交代の二通りの条件下で1・3・6か月間インキュベートして粒団の造成実験を行った。1. モンモリロナイト系人工土壤においては無施用区にも少量の粒団が生じたから, 膨潤性で高い和水性と電荷を持つ粘土では極性の高い水で加湿されると粒子が相互に引き合ってゲル状に集合し, その一部が比較的強固に連結して耐水性になることがわかった。2. アルミニウム単用区は湿潤条件でインキュベートすると高い粒団生成効果を発揮した。しかし湿乾交代条件でインキュベートすると粒径の大きな粒団が形成されなかったから, アルミニウム単独による土粒連結は耐久性の低いことがわかった。3. 腐植単用区ではほとんど粒団生成が認められなかった。しかし腐植とアルミニウムとを併用すると, 両成分が複合して土粒間の連結に関与し, しかもこの粒団は耐久性が高く, 湿乾交代条件下においても注目すべき高い粒団生成効果を発揮した。4. 土壤改良剤のアロンとソイラックの粒団生成効果は中位程度であった。5. 鉄単用区では肉眼的にも特異な泥塊状の集合体を形成し, その粒団化度は中位で, アルミニウムのように高い粒団生成機能を持たないことがわかった。 / Each of humus, aluminum, iron and soil conditioners was added singly or in combination to a montmorillonite-artificial soil consisting of bentonite, sand stone, and glass beads, and these soils were incubated at a constant humidity, or under the alternate humid and dry condition. The amount of aggregate produced in each soil was determined by wet-sieving after one, three and six months, respectively. 1. Some aggregates were formed even in a control soil owing to the character inherent in the clay, montmorillonite, contained. 2. The aggregate formation of this artificial soil was noticiably affected by the condition of incubation in case of single addition of aluminum. Namely, aluminum showed a remarkable effect upon the aggregate formation under the condition maintained at a constant humidity, but the effect was hardly found under the alternate humid and dry condition. It may, therefore, be considered that the aggregates produced through bridging with hydrous aluminum are relatively unstable. 3. Regardless of the condition, the formation of water-stable aggregates was greatly stimulated when humus was applied in combination with aluminum, whereas each of humus and aluminum was without effect when applied singly. From these reslts, it may be noticed that humus and aluminum have a noticeable additive effect, through their interaction, on the process of water-stable aggregates formation. 4. The effect on aggregate formation was intermediary with each of iron, soilluck (polyvinyle alcohol) and aron (sodium polyacrylate), respectively. 5. The formation of peculiar massive aggregate was brought about by the single addition of iron below, but not above, a certain quantity. Such aggregate was not produced when iron was applied in combination with other materials. From these findings, it may be understood that the behavior of iron differs from that of aluminum.
著者
河野 潤一 清水 晃 梅田 史郎 木村 重
出版者
神戸大学農学部
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.p85-92, 1990

日本産およびアメリカ産肝蛭を家兎に単数感染させ,各種変化について検索した。臨床症状は認められなかった。肝蛭卵および沈降抗体の検出時期は多数感染例と同様であった。肝病変は,肉眼的にも組織学的にも軽微であった。血液性状は,白血球数および好酸球数の若干の増加を認めた。血清の生化学的性状は,日本産肝蛭感染家兎において感染後9-10週に,GPT活性および総コレステロールの上昇を認めたが,そのほかでは著しい変化はなかった。肝蛭単数感染家兎の胆嚢から採集した虫卵の孵化率は,多数感染例におけるそれより低率であった。感染虫体の発育状況は,単数および多数感染例とも同様であった。 / Rabbits were experimentally infected either perorally with a single metacercaria or intraperitoneally with a newly excysted juvenile fluke of Japanese Fasciola sp. and American Fasciola hepatica. No clinical signs were noted. Fluke eggs were first detected in feces at the 63rd and 53rd post infection days for F. sp. and F. hepatica, respectively. Precipitating antibodies were first detected in sera at the 4th post infection week for both of the Fasciola species. Gross lesions showing adhesions, haemorrhages, nodules, scars, hyperplasia of connective tissue and thickening of the bile duct were all moderate. Histopathologically, tract lesions and haemorrhages were noted. In hematological examinations, no remarkable changes were observed in erythrocyte counts, leukocyte counts and hemoglobin content. Eosinophil percent increased in 6-8 weeks after infection. In biochemical examinations of sera, no remarkable changes were noted in concentrations of total protein, albumin and globulin, and the GOT activity. The GPT activity and total cholesterol concentration increased at the 10th and 9th post infection weeks, respectively, in the rabbits infected with F. sp. Hatching rates of fluke eggs that were collected from the gallbladder of the infected rabbits were 5-46% for F. sp. and 7-51% for F. hepatica. While, hatching rates of eggs that were collected from those infected with a multiple dose of Fasciola were 18-57% for F. sp. and 67-81% for F. hepatica. Body size and development of the inner organs of the flukes recovered from the rabbits that were infected with a single dose were the same as those recovered in the infections of multiple dose of the Fasciola species.
著者
堀尾 尚志 居垣 千尋 佐々木 圭一 牧 大助
出版者
神戸大学農学部
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.117-122, 1982

Among the steering modes of farm tractor, the crab-steering has hardly been taken up in production and also in research. That mode of steering may be unapplicable to manual operating that has made familiar with normal mode of steering for long time, but because the vehicle with that mode can always hold its body in a certine direction, that type has a profitable property for the automatic guidance in field operation, and positional relation of sensor and implement is one-dimensional problem and attaching point of sensor to body is unrestricted. This type vehicle can not turn, but travelling of field operation necessitates no turning in many kinds of operations except at head land. At head land, it may be solved to change steering mode. The authors aspect to the property of crab-steering and aimed to develop the automatic guidance system with this steering mode. In this paper, the stability of relay-control system of automatic guidance was considered with describing-function method, and the results of tracking tests with trial vehicle were discussed and considered by means of time varying Fourier coefficients of tracking pass.
著者
吉良 八郎 石田 陽博 畑 武志
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.301-318, 1975
被引用文献数
3

In Japan, about two thirds of its land are the mountain districts, and its topographic and geological features are inevitable to erosion and collapse. The land is a zone frequented by typhoons with erosive dangerous rainfall. Thus the erosion rate is more than four times of the world average, and the production of sediment and its runoff are very important problems. When a group of dams for flood control and water utilization is constructed across sand-drifting river for the development of a river basin, the phase of the river channel will change so as to be in a new state of equilibrium. At the upper stream of dam sites sedimantation occurs due to the change in the state of river flow. The sedimention has some advantages, but it is essentially a loss to the flood control and water utilization owing to the reduction of storage capacity. It also causes rapid increase of interior flooding by the aggradation of river bed and the rise of groundwater level. On the other hand, at the downstream of dam sites degradation of river bed occurs due to the scouring or sorting caused by the variation of river flow, or by the kinetic energy of flow. In this way river bed approaches the final equilibrium gradient, and its final profile has a static equilibrium bed slope on which the tractive force is identical with the critical tractive force. Studies on the mechanism of sedimentation, such as the rate of sediment inflow and sediment distribution, are necessary to solve the sediment problem in order to establish a sedimentation policy. Observations on the state of sedimentation are a prerequisite. Observation data of sedimentation at 354 dam sites including electric-power dams, irrigation dams, water supply dams, flood control dams and multiple purposes dams are collected here in 1971,and the respective features are analyzed. Data are obtained as the sediment accumulation at many dams in the country. Thus the sediment indices in Japan, such as original storage capacity C(m^3), amount of total sediment Q_s(m^3), total rate of sediment accumulation R_s=100(Q_s/C) in percent, mean annual sediment accumulation r_s=R_s/Y in percent, specific sediment accumulation q_s=Q_s/FY(m^3/(km)^2,year), and time in years since the completion of the dam Y in years, are survayed macroscopically and quantitatively. And the features of respective reservoir are investigated. By studying in detail the sediment indices on the basis of the sediment accumulations at dams, the variation of characteristics can be estimated for respective regions, river systems or years.
著者
藤井 聰 岸原 士郎 玉城 一 河本 正彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.97-106, 1986
被引用文献数
2

良質なサゴデンプンを製造する条件を探るため, 1981年にマレーシヤ, クアラルンプル市郊外で, 種々の条件下でサゴデンプンを実験室的に調製し, 調製品を日本に持ち帰って, その品質, とくにその色に関係する分析をした。その結果得られた良質サゴデンプンの製造条件と, 留意すべき事項について報告する。原料は新鮮で熟していなければならない, 未熟の原料や, 収穫後, 剥皮及び磨砕後長時間放置したものからは, 劣悪なものしか得られなかった。デンプン製造には鉄製器具はできるだけ避けるべきである。さもなければピスの切断面はインク色に染まり, その色はデンプンに取り込まれてしまう。ピスを短時間貯蔵せねばならぬときは, 空気から切断面を遮断する適当な方法を講ずるべきである。例えば適当な表面コーティング剤を噴霧するとか, 水に浸漬するとかの方法である。良質の水を使用することが高白度のデンプンを得るために必須である。若し良い水が得られないなら, たとえば, 塩(海)水を用いるとか, Tween 60のような界面活性剤を添加した用水を用いるのが薦められる方法である。不純物は製造時にデンプンに吸着されるので, 一度劣悪なデンプンが製造されると, その品質の改良は普通の方法では大変むつかしい。
著者
岡山 高秀 源 伸介 伊藤 和彦 近藤 健次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.397-400, 1983-01-30

小売精肉用豚肉の肉色を良好に維持し, かつ脂質の酸敗を抑制するガス組成を見いだす目的で, 豚肉を80%CO_2+20%O_2,50%CO_2+50%O_2,20%CO_2+80%O_2及び100%CO_2に4℃で10日間貯蔵を行った。その結果, 80%CO_2+20%O_2及び50%CO_2+50%O_2に貯蔵した豚肉はMetMb生成量が低く, 貯蔵10日後においても好ましい肉色を保持できた。さらに80%CO_2+20%O_2貯蔵は50%CO_2+50%O_2試料に比べTBA numberの上昇を著しく抑制することが認められた。以上の結果から, 小売精肉用豚肉の肉色を良好に保ちしかも酸敗を抑制するガス組成として80%CO_2+20%O_2は大変有効であることが示唆された。
著者
水野 進 谷口 保 浜田 憲一
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.165-170, 1972

1968,1969および1971年, 林系温州を使用し, 温州ミカンの成熟期を呼吸現象より追求し, これにもとづき, 1971年低温貯蔵(2℃)にたいする採収適期を果実の外観ならびに品質などから検討した。1.成熟期に関して。果実の着色期(1968年は11月13日, 1969年は11月20日, 1971年は11月18日)より呼吸の上昇が認められ, その後ほぼ安定した呼吸率を示すが, 12月下旬より多少低下の傾向であった。また内容成分は呼吸上昇2&acd;3週間後に充実していた。したがって呼吸上昇時より2&acd;3週間後が温州ミカンの完熟期と考えられる。また20℃下で各採取期時の果実(1971)のエチレン発生をともなった呼吸の上昇は, 完熟期採取果が最もおそく, この時期より遠ざかる採取時期果ほどはやくなった。2.低温貯蔵(2℃)と熟期との関係。1971年11月18日(成熟始め), 12月7日(完熟)および12月20日(老化始め)に採収した果実の低温貯蔵性(1972年6月8日まで)を貯蔵終了時および出庫8日目に, 果実の状態ならびに品質よりみると, 貯蔵終了時商品価値の最も高いのは12月7日採収果であり, ついで12月20日採収果であった。この傾向は出庫8日目においてもまったく同じであった。すなわち, 11月18日採収貯蔵果では腐敗果および低温障害果の発生が多く, また12月20日採収貯蔵果では萎凋果の発生が多かった。糖および酸の含有率は12月7日および12月20日の両採収果間では, 貯蔵終了時ならびに出庫8日目において大差なかった。以上より温州ミカンは着色期より呼吸の上昇が始まり, この時期を境に成熟過程に進み, その後2&acd;3週間で完熟する。また長期保存を目的とする低温貯蔵には完熟期の果実が最適と思われる。
著者
堀尾 尚志 居垣 千尋 佐々木 圭一 牧 大助
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.117-122, 1982

Among the steering modes of farm tractor, the crab-steering has hardly been taken up in production and also in research. That mode of steering may be unapplicable to manual operating that has made familiar with normal mode of steering for long time, but because the vehicle with that mode can always hold its body in a certine direction, that type has a profitable property for the automatic guidance in field operation, and positional relation of sensor and implement is one-dimensional problem and attaching point of sensor to body is unrestricted. This type vehicle can not turn, but travelling of field operation necessitates no turning in many kinds of operations except at head land. At head land, it may be solved to change steering mode. The authors aspect to the property of crab-steering and aimed to develop the automatic guidance system with this steering mode. In this paper, the stability of relay-control system of automatic guidance was considered with describing-function method, and the results of tracking tests with trial vehicle were discussed and considered by means of time varying Fourier coefficients of tracking pass.
著者
堀尾 尚志
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.197-206, 1989-01

試作したクラブ・ステアリング車を用い,自動操向実験を行なった。アスファルト路面にペイントで描いた白線を目標経路とし,これを1対の反射型赤外線光電センサとマイクロ・コンピュータにより信号を処理しトラッキング・エラーを検出した。自動操向実験は,解析結果を検証するため波長と振幅を変えた正弦波目標経路に対して,また実際の状況を想定してステップ関数の立上り部分をランプに置き代えた形の目標経路に対してそれぞれ行なった。
著者
尾崎 武 一井 隆夫
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.35-40, 1988-01

短梢せん定による19年生'キャンベル・アーリー'を用い, 満開期にエチクロゼートの50ppm溶液の葉面及び全面散布と花穂浸漬による処理を行い, 処理部位の違いが結果枝内炭水化物含量に及ぼす影響を調査し, 結果枝の伸長並びに脱粒経過との関連からその摘粒効果について検討した。1. エチクロゼートの葉面及び全面処理は無核小果粒の着生を増加させることなく処理後7&acd;15日の脱粒を助長した。花穂処理では無核小果粒の着生が多く, 脱粒は処理後9&acd;20日と遅れ, その数も少なかった。2. エチクロゼートの葉面及び全面処理は果粒を肥大させる傾向を示した。糖度及び酸度には影響を与えなかった。3. エチクロゼートの葉面及び全面処理では結果枝先端部のでん粉及び全糖含量がそれぞれ処理後1日及び4日に無処理及び花穂処理より低下する傾向であったが, 処理後7日には増加を示し, 無処理と同程度となった。また, 処理後2&acd;3時間から7日間くらい結果枝先端部や葉に下垂症状がみられたが, その後回復した。したがって, エチクロゼートの摘粒効果は結果枝先端部の伸長の回復に伴う炭水化物の代謝の変化によって生じるものと考えられる。4. エチクロゼートの葉面処理によって処理後1&acd;4日に成葉のでん粉含量が著しく低下した。5. エチクロゼートの花穂処理では処理後7&acd;10日に花穂の全糖含量が高く維持され, 無核小果粒の着生と関連しているものと思われた。
著者
秋田 謙司
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.185-190, 1975

本実験は水苗代育成の成苗植区, 育苗箱育成の稚苗植区および乾田直播区を設定し, 水稲日本晴を供試してその生育過程における各種形質を追跡し, それらの相違について比較検討した。その結果の概要は次のごとくである。1. 主稈における葉の出葉間隔は13.5-14.0葉期頃まではほぼ等しかった。最終的な主稈葉数は成苗植区は17葉内外であり, 稚苗植区および乾田直播区は16葉内外であった。2. 収穫期の草丈は成苗植区と稚苗植区ではあまり差がなかったが乾田直播区は短く, 稈長も同様であった。穂長は成苗植区が最も長く, ついで稚苗植区で乾田直播区は最も短かった。3. 最高分げつ期の1株茎数は成苗植区では18.9本, 稚苗植区は24.3本で, 乾田直播区は15.7本と著しく差異があった。しかし収穫時には成苗植区は14.0本, 稚苗植区は14.9本, 乾田直播区は13.1本となり, 有効茎歩合はそれぞれ74.1%, 61.3%, 83.4%を示した。4. 地上部乾物重では成苗植区の最大は9月15日の58.9g, 稚苗植区は9月12日の56.8gで, 収穫時には成苗植区が53.2g, 稚苗植区は53.7gであった。しかるに乾田直播区の乾物重は収穫時が最大を示したがわずかに47.0gで, 成苗植区ならびに稚苗植区より劣り殊に穂重で小さかった。
著者
水野 進
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1-5, 1971

野菜の貯蔵に関し, 5種のフラスチックフィルムを使用し, その適応性を低温ならびに常温で検討した。1. 密封試験には材料としてホーレン草を使用したが, 低温(2℃)貯蔵であれば, 何れのフィルムでもその貯蔵性は常温より著しく高まった。しかし重量減少の点を考えると, 塩化ビニール, あるいは二軸延伸ポリプロピレンが最も良く, 次いでポリエチレンであり, 無延伸ポリプロビレン, ならびにポリスチレンは不適当であった。また常温(20℃)では, 何れのフィルムでも, 袋内のCO_2濃度が高く, O_2濃度が低くなり, 包装効果は期待出来なかった。2. パーフオレーション包装試験の材料としては, 芽キャベツを使用した。1包装に芽キャベツ30ケ, 重量約270gの場合, 直6mmの穴を2-4個あけた場合, 袋内のCO_2濃度は, 或程度高く, 鮮度の保持も良好であった。8個以上の場合, 萎れの防止はあるが, 袋内のCO_2,O_2濃度は無包装と変らず, 鮮度の低下すなわち黄色化が目立って来た。