著者
片山 由加里 小笠原 知枝 辻 ちえ 井村 香積 永山 弘子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.20-27, 2005-06-20 (Released:2012-10-29)
参考文献数
25
被引用文献数
10 6

本研究の目的は, 看護師の感情労働測定尺度 (Emotional Labor Inventory for Nurses: ELIN) を開発することであつた. 本研究では, 看護師の感情労働を, 患者にとつて適切であるとみなす看護師の感情を表現する行為と定義した. 始めに, 文献とインタビューに基づいて57の質問項目を選定し, 看護師60名と学生66名が項目の適切性を評価した. さらに, 項目分析によつて削減した50項目のELIN原案を看護師436名に調査した. 因子分析の結果,「探索的理解」,「表層適応」,「表出抑制」,「ケアの表現」,「深層適応」の5因子から構成するELIN (26項目) が示された. 内的整合性はCronbach's α (0.92), 安定性は再テスト法 (r=0.72) によつて確保した. 基準関連妥当性は, ELINとEmotional Labor Scale との相関 (r=0.48)と, 看護師と学生のELINの比較によつて確認した. 構成概念妥当性は, 共有経験尺度と共有不全経験尺度によつて確認した. 以上により, ELINの信頼性と妥当性がおおむね支持された.