著者
小川 朋子 林 智子 井村 香積
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.5_65-5_74, 2016-12-20 (Released:2017-05-18)
参考文献数
25

本研究は,指導看護師が「成長が遅れている」ととらえた看護師の特徴と,行われている教育・支援を明らかにすることを目的として,指導看護師10名に対して半構造化インタビューを行った。その結果から,教育に携わる看護師は【A.学習の積み上げが困難】【B.看護実践に必要なスキルの不足】【C.安全性の欠如】【D.患者・職員との関係形成困難】【E.精神的脆弱さ】【F.看護職員としての自覚と責任ある行動の不足】がみられることを,「成長の遅れ」ととらえていることが明らかとなった。これらの特徴に対し指導看護師は,【①実践での指導】【②学習支援】【③対象理解と対象に合わせた指導】【④社会性の促進】【⑤主体性の促進】を「成長が遅れている看護師」本人に対して行うとともに,【⑥安全性の確保】【⑦環境の改善・調整】という支援で,勤務体制や職場の従来のやり方,自分たちの考え方などを変える取り組みも行っていた。
著者
片山 由加里 小笠原 知枝 辻 ちえ 井村 香積 永山 弘子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.20-27, 2005-06-20 (Released:2012-10-29)
参考文献数
25
被引用文献数
10 6

本研究の目的は, 看護師の感情労働測定尺度 (Emotional Labor Inventory for Nurses: ELIN) を開発することであつた. 本研究では, 看護師の感情労働を, 患者にとつて適切であるとみなす看護師の感情を表現する行為と定義した. 始めに, 文献とインタビューに基づいて57の質問項目を選定し, 看護師60名と学生66名が項目の適切性を評価した. さらに, 項目分析によつて削減した50項目のELIN原案を看護師436名に調査した. 因子分析の結果,「探索的理解」,「表層適応」,「表出抑制」,「ケアの表現」,「深層適応」の5因子から構成するELIN (26項目) が示された. 内的整合性はCronbach's α (0.92), 安定性は再テスト法 (r=0.72) によつて確保した. 基準関連妥当性は, ELINとEmotional Labor Scale との相関 (r=0.48)と, 看護師と学生のELINの比較によつて確認した. 構成概念妥当性は, 共有経験尺度と共有不全経験尺度によつて確認した. 以上により, ELINの信頼性と妥当性がおおむね支持された.