著者
四ツ柳 隆夫 山口 拓 後藤 克己 永山 政一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.1056-1061, 1967
被引用文献数
1

2価金属のシアノ錯体を含むアンモニアアルカリ性溶液に還元剤(L-アスコルビン酸塩)を添加するとMn<SUP>2+</SUP>イオンだけが選択的にEDTAと反応することを見いだした.<BR>[Mn(CN)<SUB>6</SUB>]<SUP>3-</SUP>+<I>e</I><SUP>-</SUP>+EDTA<SUP>4-</SUP>→MnEDTA<SUP>2-</SUP>+6CN<SUP>-</SUP><BR>この反応を詳細に検討し,1個の試料を用いてCa<SUP>2+</SUP>+Mg<SUP>2+</SUP>,Mn<SUP>2+</SUP>およびZn<SUP>2+</SUP>を滴定する方法を確立した.すなわち,鉄およびアルミニウムを除去したのち大量のシアン化カリウムを加えてZn<SUP>2+</SUP>とMn<SUP>2+</SUP>とをマスクし,Ca<SUP>2+</SUP>+Mg<SUP>2+</SUP>をEDTAにより滴定する.ついでMn<SUP>2+</SUP>に対して過剰のEDTAと還元剤とを加え,60~70℃に加温して上記の反応を完了させ,余剰のEDTAをMg<SUP>2+</SUP>標準溶液で逆滴定しマンガン量を求める.さらに,この溶液にホルムアルデヒドを添加して,Zn<SUP>2+</SUP>を脱マスクし,EDTAにより滴定する.この方法を上記の金属イオンを含む金属鉱山排水の分析に応用した.