著者
永添 正美 世良 暢之 常盤 寛
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.17-24, 2004-02

1996年10月上旬、KA大学、附属KB及び付属KC高校において患者数211名の大規模な食中毒が発生した。患者の主症状は、下痢、腹痛、嘔吐及び発熱であった。患者14名の便、食品残品について細菌学的検査を実施した。その結果、4名(28%)の便からサルモネラが検出され、生化学性状、血清学的性状(O抗原9、H抗原g,m)の結果から、Salmonella Enteritidis (以下、S. Enteritidis)と同定された。便より分離したS. Enteritidisについて、寒天平板法により抗生物質(アンピシリン、ピペラシリン、スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤、ミノサイクリン、アミカシン、セフメタゾール、セフォベラゾン、ラタモキセフ、セフォチアム、セフチゾキシム、セフタシジム、ホスホマイシン)に対する感受性試験を実施した。その結果、便より分離したS. Enteritidisは、アンピシリン(最少発育阻止濃度が、4μg/ml)、スルファメトキサゾール(同、<1.56μg/ml)などに対して感受性であった。一方、原因食品を追求するため、同学生食堂に残されていた液卵4検体についてサルモネラ分離を試みた。その結果、S. Haiha及びS. Enteritidisの2種類のサルモネラが検出された。特にS. Enteritidisは4検体中3検体から検出されたことから、10月4日に患者が喫食したカツ井、から揚げ丼に使われた液卵あるいはその調理容器が何らかの形でS. Enteritidisに汚染されたことが本食中毒の原因であると疑われた。